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もう一人の熊本県勢 野口彩未が苦手なゴルフを続けた理由

静岡県の川奈ホテルGC富士コースで開幕した国内女子ツアー「フジサンケイレディスクラシック」初日、笠りつ子上田桃子ら地震被災地の熊本県勢が奮闘する中で、同県出身だが見慣れない選手の名がリーダーボードに連なった。プロ3年目の野口彩未(20)が1イーグル3バーディ、1ボギーの「68」でプレーして4アンダーとし、首位と2打差の2位グループに入った。

「何かいつもと違う力を感じた」。6番(パー3)で12mのバーディパットをねじ込んで、1アンダーで折り返した後半の13番。「グリーン左サイド、奥にこぼさないように軽めに打った」という残り140ydの第2打を直接カップに沈め、イーグルを奪った。「グリーン方向に打ち上げだったので、カップインの瞬間は見えなかった」ものの、ギャラリーの大きな歓声でイーグルを確認。レギュラーツアー出場7試合目で、初めてアンダーパーでのラウンドとなった。

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「体育の成績だけは良かった」と、新体操や水泳、バドミントンの腕前はクラブチームから勧誘されるほどだった。運動神経が良いと自負するが「ゴルフだけは簡単にボールを打つことができなかった」。負けず嫌いな性格もあり、周囲に負けていられないと本格的に練習に取り組み始めた中学1年の頃には、すでに「プロになる」ことを決意していたという。

今回の地震で避難所となり、校庭にパイプいすで「カミ パン SOS 水 コクフ」の文字が作られた熊本国府高校の出身。2014年にプロテスト合格、同年は下部のステップアップツアー6試合に出場した。翌15年も同ツアーを主戦場とし、レギュラーツアーの出場は1試合で予選落ち。QTランク40位で今季の出場権を獲得したが、前々週までに出場した6試合はすべて予選落ちに終わっている。

14日に発生した熊本地震で、出場の取りやめも考えたが、同居する母・恵美さん(41)、スイングコーチの中田貴章プロから「プロゴルファーになったんだから、覚悟を持ってやりなさい」と背中を押された。熊本に残してきた母には避難生活に役立ちそうな情報を頻繁にメールで送っているが、逆に母から「集中しなさい」と言われる始末だ。

上位で初日を終えたが、目標は予選通過。「母には、ここまで育ててもらった恩返しがしたい」と常々思っているという。大会最終日は恵美さんの誕生日。熊本で朗報を待つ母にバースデープレゼントを届ける絶好の機会を得た。(静岡県伊東市/糸井順子)

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2016年 フジサンケイレディスクラシック



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