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佐藤信人の視点 勝者と敗者

グリーン上で見えた20代の特権

「フジサンケイクラシック」は、最終日に単独首位からスタートした星野陸也選手が2位に5打差をつけ、悲願のツアー初優勝を飾りました。

バーディ数は大会1位の26個(2位は今平周吾選手の20個)。ドライビングディスタンスも池田勇太選手に続く2位(325.5yd)と、数字から見れば186cmの上背を生かした飛距離で他を圧倒した結果となりました。

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ただ、私が見る彼の印象は、ダイナミックなショットよりも、若さの割に感じるパットのうまさのほうが強い印象です。意外に思われるかもしれませんが、彼はデビューイヤーとなる昨シーズン、予選落ちを喫したのがたったの4試合(23試合中)。フル参戦の経験がないルーキーとしては、驚異的な結果を残しました。

安定感を生んでいる一番のポイントは、パッティングのタッチにあると思っています。弱すぎず、ほど良い強さを持ったタッチ。重永亜斗夢選手が試合後に、「自分にはない強気なパッティングを持っている。うらやましいです」とコメントを残していますが、星野選手のパッティングには迷いがなく、攻める時は気持ちの良いほど強気に攻める部分を持っています。それが22歳の特権とも言えるのかもしれません。

ゴルファーはある程度の年齢を重ねると、ゴルフの恐さを知りすぎてしまう部分があります。特にパットでは、カップに入れにいく気持ちを持ちながら、頭の中では外した場合のことも考えてしまう。入れにいきながら、返しのパットも頭をよぎってしまうものなのです。

特にことしの富士桜のグリーンは、例年に比べてやや重めで、少し強めに狙ったほうが結果を残せる試合となりました。1位の星野選手(22歳)を筆頭に、2位の今平周吾選手(25歳)、4位の木下稜介選手(27歳)、8位の松原大輔選手(23歳)、11位の梅山知宏選手(27歳)と浅地洋佑選手(25歳)といった、20代の選手が上位に名を連ねていることからも、この若手が持つ特権が証明されているように思います。

星野選手が今大会で見せたタッチの妙は、最終日の前半、特に二つのシーンに集約されていました。一つは1番(パー4)でのパーパット。2位の重永選手とは5打差がついていましたが、朝の練習場では球がつかまらず、不安が募った状態でのスタートとなりました。そしていきなりのスタートホールでピンチを迎えます。同組の重永選手がすばらしいセカンドショットでバーディを確定した後、1m半ほどのパットを残したのです。ここでボギーをたたけば、一気に3打差に迫られる状況。試合を左右する一打で、彼は迷いなく絶妙なタッチで決めきることができました。

もう一つは、8番(パー4)のグリーン上。ここでも同じように1m半ほどの微妙な距離で、ややフックのラインを難なく沈めました。前ホールの7番(パー3)でボギーを喫した直後でしたので、連続で落とせば一気に流れが傾いてしまう大事な場面。ここでも彼はきっちり沈めることに成功したのです。

この二つのパットを沈めたことで後半10番(パー4)でのチップインバーディや、13番(パー3)のあと少しでホールインワンというスーパーショットにつながったと思います。

今回は彼のパッティングに注目しましたが、すべてのプレーに大きな伸びしろを感じさせてくれる星野選手。本格的にプロを目指したのが2016年8月ですので、それから約2年での勝利。このスピード感があれば、米ツアーやメジャーといった世界の舞台で活躍する日もそう遠くはない気がしました。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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2018年 フジサンケイクラシック



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