「マジか」報道で知ったLIVのオイルマネー支援打ち切り/浅地洋佑インタビュー<前編>

2026年 Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 浅地洋佑
LIVゴルフに参戦した浅地洋佑が激動のシーズンをGDOのインタビューで振り返った

2026年、創設5年目を迎えたLIVゴルフが転換期を迎えた。リーグを金銭的に支えてきたサウジアラビア政府系ファンド(PIF)が今季限りでの撤退を決定し存続が危ぶまれている。昨年、アジアンツアーのインターナショナルシリーズのポイントランキングで2位に入り、唯一の日本勢としてシーズンを戦った浅地洋佑がインタビューで激動の一年を振り返った。(取材・構成/桂川洋一)

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8月下旬、LIVの最終戦「インディアナポリス」を終えた浅地は帰国直後に日本ツアー「Sansan KBCオーガスタ」に出場した。炎天下の福岡で汗をぬぐい、シーズンを振り返る表情は明るい。

「すごく楽しかったですし、良い刺激をずっともらっていました。世界のトップ選手たちと一緒に回れて本当に良かった。成績的にはもっとやれたかな…とも思います。(シーズンの)出だしの方はそれなりに、思ったようなゴルフができましたけど、中盤から最後にかけて、ちょっともったいないラウンドが多かった」

創設5年目のシーズンに、個人戦だけを戦う「ワイルドカード」の一員として参戦が決まったのは昨年の終わり。LIVを支えるサウジアラビア政府系ファンド(PIF)が同じくバックアップしたアジアンツアーの高額賞金大会「インターナショナルシリーズ」の1つ、シンガポール大会を制してシリーズのランキングが急浮上。海を渡ることとなった。

2025年 マオタイ シンガポールオープン 最終日 浅地洋佑
「シンガポールオープン」を制してLIVメンバー入りに大きく前進した(Jason Butler/Getty Images)

「そもそもLIVに行くことを狙ってアジアンツアーに出ていたわけではなく、行けるチャンスが出てきたことも、シンガポールでの優勝インタビューで知りました。仲のいい香妻陣一朗にそれまで『どうなの?』と話を聞くこともありましたけど、『自分もとにかく行きたい』とはあまり思っていなかったんです。(香妻からは)『ホスピタリティやコースが毎回素晴らしく、何よりジョン・ラーム(スペイン)やブライソン・デシャンボーといった選手と一緒に回れることで、自分が勝手にレベルアップする』とも。ただ、僕は日本ツアーだけじゃなく、アジアでもシードを獲ることを一番の目標にしていたので、本当にラッキーだった」

ビッグネームたちと初めて対面したのは年明けの1月、米国でのことだった。

「LIVのQT(プロモーションイベント)が終わった翌日、フロリダ州のウェストパームビーチで選手全員が集まって、チームごとにPV撮影があったんです。ラームもデシャンボーももちろんいた。迫力に圧倒されましたね。みんなデカくて。そもそも、小さい選手がほとんどいない」

2026年 LIVゴルフ・メキシコシティ ジョン・ラーム
刺激たっぷりなビッグネームたちとの戦い. (Charles Laberge/LIV Golf)

本格的に面食らったのは、やはり実際に試合に出場してから。サウジアラビアでの開幕戦「リヤド」はそもそもゲーム形式にも驚いた。

「最初は会場の雰囲気にちょっと圧倒されましたね。しかもリヤドはナイターゲームだったので。夜に試合をやること自体、初めて。『うわ、これはすげえな』と思いつつ、めちゃくちゃやりにくかった(笑)。ナイターゴルフはタテの距離感も普段と全く違う。照明がいくつもあるから、光がいろんなところから当たって、自分の影が2個も3個もできて、打ちづらかった」

2026年 LIVゴルフ・リヤド ローリー・キャンター
演出にこだわるLIVゴルフならではの開幕戦 (Chris Trotman/LIV Golf)

そのオープニングゲームで17位。まずまずのスタートを切った直後、リーグには不穏な空気が漂う。4月に入ると、PIFが今季限りでLIVへの出資を打ち切るという報道が頻発した。

「自分はインターネットのニュースで(打ち切りの)可能性があると初めて知りました。日本ツアーの『東建ホームメイトカップ』の後、LIVの『メキシコ』に行ってすぐくらいのときだったかな。率直な気持ち?『マジか』というか…。当時の中東情勢の影響で出た話かと思い、大丈夫なんじゃないかなとは考えていたんですけど」

6月に開催予定だった「ルイジアナ」は延期され、結局中止に追い込まれた。団体戦のみで行われる8月末の最終戦「ミシガン」も実施されなかった。9月に入り、職員の大量解雇のニュースも流れたが、浅地はシーズン中にわずかな変化を感じ取っていたという。

「最後の方は最初の頃よりもスタッフの数が減ったような気がします。試合会場にいるトランスポートの人なんかが。選手にはいつも移動用の車が用意されるんですけど、そこのスタッフの方が少なくなったかもしれない。ただ、それで待たされるようなことはありませんでした。(報道にあったように)8月の『ニューヨーク』の賞金の振り込みは確かにいつもより少し遅かったです。でも、ちゃんと振り込まれました。僕は個人戦だけだったので、チーム戦のことは分かりませんが…」

2026年 LIVゴルフ・ニューヨーク スコット・オニールCEO
説明の場に立つ機会が増えていったスコット・オニールCEO( Montana Pritchard/LIV Golf)

PIFの撤退が決まり、持続可能性に疑問符がついたリーグの動きは慌ただしくなった。経営体制の変更を余儀なくされ、スコット・オニールCEOらが奔走。8月初旬、来シーズンに向けて新たな匿名の投資家と合意するという見通しを明らかにした。

「(4月の)メキシコ以降、4、5回はCEOからの説明、ミーティングがあった。最終戦の『インディアナポリス』のときに、その人(匿名の投資家)が実際に来て『来年もリーグは行われる』という話があって。そのときまで自分も『そんな人、本当にいるのかな』なんてちょっと思っていたんですけど、来てくれたので実在したんだ、と(笑)」

激流に飲まれたルーキーイヤー。しかし、世間から心配以上に好奇のまなざしを浴びながら過ごしたLIVゴルファーたちの間では、大きな混乱や現状を憂うような声は聞こえなかったという。

「ニュースではネガティブな話題ばかりがあがりますけど、実際に中でやっている人たちはそんなに悲観的になってないという印象。明るい話もあったし、会場で『来年どうなるんだろう』という感じでプレーしている選手は見なかった。移動にかかる費用は選手とキャディさんは全部タダ。選手のフライトはいつもビジネスクラス。食事も三食、ゴルフ場で食べられる。夜の8時くらいまでプレーヤーダイニングも開いていた。試合期間中は自分で運転することもない。本当にゴルフのことだけを考えて毎日を過ごせた」

2026年 LIVゴルフ・インディアナポリス ブライソン・デシャンボー
所属プロたちの胸中は (Pedro Salado/LIV Golf)

来年のシードはキープできなかったものの、出場権をつなぐ手はまだある。

「ことしはオープンゾーン(ポイントランク35位から46位。浅地は44位)で終われた。(リーグの)今後はどうなるか分からないですけど、『プロモーションを受けてください』と言われたら、受けるつもりでいます。受けられなくても、もう一回行きたいなと今は思いますね」

キャリアで初めて海外ツアーに定着した一年はあまりに刺激的だった。後半では実際に体験したトップ選手たちとの濃密な時間を振り返り、今後の日本ツアーについても言及する。

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