LIVルーキーはいくら稼いだ? 海外で知ったカネ以上の魅力/浅地洋佑インタビュー<後編>

2026年 Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 浅地洋佑
LIVゴルファー浅地洋佑のインタビュー後編。リーグで学んだトップ選手と日本ツアーの今後について語る

2026年、創設5年目を迎えたLIVゴルフが転換期を迎えた。リーグを金銭的に支えてきたサウジアラビア政府系ファンド(PIF)が今季限りでの撤退を決定し、存続が危ぶまれている。昨年、アジアンツアーのインターナショナルシリーズのポイントランキングで2位に入り、唯一の日本勢としてシーズンを戦った浅地洋佑がインタビューで激動の一年を振り返った。(取材・構成/桂川洋一)

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PIFの撤退決定で騒がしくなった世間を横目に、浅地はルーキーイヤーを刺激的に過ごしていた。学生時代からトップアマとして日本ツアーに出場し、プロ転向後に通算4勝。近年参戦したアジアンツアーを経て一気に世界ランカーたちと同じ舞台に立った。

「開幕戦の『リヤド』ではアン・ビョンフン(韓国)、アブラム・アンセル(メキシコ)と同組で回りました。アンは身長も高くて飛距離もスゴイ。アンセルは僕(163cm)と同じくらいか、もしかしたら小さいくらいだけど、ショットの精度に驚いた。まさに七色の球を操るような選手。『こういう球を打てればPGAツアーでも勝てるのか』みたいに思った」

幼いころから浅地は巧みなウェッジワークで注目された選手だったが、スター選手たちの技に目を見開く。

2026年 LIVゴルフ・リヤド 2日目 ジョン・ラーム
巧みなショートゲームにも驚き(提供:LIVゴルフ)

「オーストラリアでの『アデレード』では地元のキャメロン・スミスと回った。人気がすごいのはもちろん、前評判通りショートゲームが素晴らしかった。ジョン・ラーム(スペイン)とは『コリア』(韓国)の最終日に同じ組になりました。ラームってショットのうまさばかりがフォーカスされるけれど、実際に見てみたらアプローチとパターがとんでもなくうまかった。まず、全部に自信を持って打っている感じがする。1本のウェッジで打つタイプの僕とは違って、海外の選手はいろんなクラブを使って、いろんな寄せ方をする。ラームもそれをやっていて、『めっちゃうまいな』と思った」

昨年、浅地の日本ツアーでのドライビングディスタンスは平均284.53yd(全体68位)だった。1年経たないうちに飛距離が急激に伸びたというから不思議だ。

2026年 中日クラウンズ 浅地洋佑
ドライバーの飛距離が伸びたという

「日本ではドライバーのキャリーは270ydちょっとくらいで計算していたんですけど、今は285ydから290yd。めっちゃ伸びたんです。ある程度トレーニングはやりましたけど、そんなに体型は変わっていない。やっぱり周りが飛ばすし、そういう選手の飛距離がベースになるから自分も勝手に振れるようになってきちゃうんですよね。ただ、それが結果に結びついているかと言われたらちょっとあやしいですけど。技術のレベルは上がっていても、自分の頭のレベルが上がってないのかもしれない。(ついた力を)使いこなせないというか。飛距離も出るようになったし、打てる球の種類も増えたけれど、試合になった時に自分で処理しきれてないような気がします」

目に見えた進歩を実感しつつ、結果に反映できないもどかしさに頭を悩ませる。新しい葛藤を抱えるようになったのも階段をいくつかのぼった証拠かもしれない。

今季12試合のLIV出場で179万3337ドル(約2億8693万円)を稼いだ。日本ツアーでのベストシーズンだった2019年の約6979万円を大きく上回る。しかし、「もちろん、お金以外の魅力がLIVにはあった。トッププレーヤーと試合をする経験はとんでもない財産」と大きくうなずく。海外転戦は楽な場面ばかりであるはずがない。「しんどかったのがスペインでの『アンダルシア』。韓国での『コリア』からの移動がすごく大変で。釜山からチャーター機が出たんですけど、一度マレーシアで給油をして向かった。飛行機から20時間くらい外に出られなくて、きつかったですね」

2026年 LIVゴルフ・アンダルシア
最もキツかった韓国からスペインへの渡航

他方ではオープンウィークを異国の地で過ごす余裕も学んだ。「『UK』が終わった翌週のオフ、すぐに(次の試合がある)ニューヨークへ飛んで、1週間過ごした。(大型ゴルフショップの)PGAツアースーパーストアに行って、クラブを物色したりもしましたよ」

5月に33歳になった。中堅世代になって海の向こうで戦う喜びを知った。だからこそ、愛情を注いできた日本のツアーの現状に思うところもある。

「“こうしてほしい、ああしてほしい“というのは、数えればたくさんあります。本当に細かい部分で言えば、例えば毎ホールのティイングエリアで水が欲しい。めちゃくちゃ暑いのに(給水用のペットボトルの入ったクーラーボックスが)4ホールに1つくらいしかない。これでは選手は倒れてしまう。アジアンツアーでも少なくても2ホールに1つは必ずあるんですよ。LIVは毎ホールあります。水だけじゃなく、スポーツドリンクに経口補水液、粉末状のサプリメントまである。何ホールかに1回はバナナやリンゴ、ちょっとしたスナックも置いてある。キャディバッグになにも入れずにスタートしても大丈夫」

2026年 LIVゴルフ・メキシコシティ ブライソン・デシャンボー
プレーだけに集中できる環境が整えられている (Chris Trotman/LIV Golf)

「これはお国柄というか…(日本のゴルフ場のシステムとして)仕方がないことかもしれないですけど、日本ツアーではプレーフィがかかる試合がある。1日何千円、下手したら何万円と払うところもあるんです。日本人はやっぱり礼儀正しいし、一つひとつのことをきちんとする文化で、決まりごとはみんな同じなのかもしれない。でも、海外は“選手ファースト”だと感じる。すごい細かいところばかりだけど、そういうところって結構、選手は見ているんです」

提言できることは山ほどある。それもこれも、意を決して新天地に立ったからこそだ。

「ゴルフ人生のターニングポイントはどこですか?と聞かれた時に、絶対に『LIVに初めて出た時です』と言えるようなシーズンだったと思います。経験できる人は本当に一握りだけ。成績は思ったようにはいかなかったけど、ある程度戦えると感じられた部分もあったし、ものすごく自信にもなった年だった」

来シーズン、軸足をどこに置くかはまだ決めかねている。

「この後は日本ツアーに出ますけど、その合間にDPワールドツアー(欧州ツアー)のQTに行ってみようと思っています。受けられるそうなので。でもLIVに行っていなかったら、その発想はなかった。やっぱり海外で試合をする楽しさを覚えたから。日本ツアーももちろん魅力的。でも今は海外でプレーすることがすごく楽しい」

思わぬ形で世間からも注目を浴びた一年。いつか長いキャリアを振り返ったとき、さん然と輝くシーズンになると予感している。

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