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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちの知名度<増田伸洋>

2008/03/17 09:01

「いちど頂点を味わってからドン底に落ちたほうが、そうでない場合よりダメージが大きい」と言った選手がいた。「這い上がるのに倍、…いや、3倍、下手すりゃ4倍以上のパワーが必要になる」と、いうのである。一度も頂点を味わったことすらない者からすれば「何を贅沢な」と言いたくもなる話だが、スターにはスターの奥深い悩みというものがある。
たくさんある中でも一番つらいのが、落ちて誰にも相手にされなくなることだという。絶頂期には、何も言わなくても周囲が持ち上げてくれた。あってはならないことではあるのだが、否応なしに群がる報道陣をときには邪険にあしらったこともあるだろう。「ほっておいてくれ」と、言いたくなることもあったに違いない。

しかし、ある日を境にパタリ…と、誰一人寄って来なくなる。あの言いようもない孤独感。周囲の無情な仕打ちにグチのひとつも言いたくなるというものだが、それもすべては成績を上げられない自分の責任と分かっているから、ひたすら耐え忍ぶしかない。

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スランプを脱して無事“帰還”してきたあるプロが、打ち明けたものだ。「世間から忘れ去られたと感じた時期が、一番苦しかった」と。数え切れないほどの勝ち星をあげ、何度も賞金王にのぼりつめた選手ほどではないにしても、一度は優勝の喜びを味わった選手にとって、その思いは同じのようである。

ここ5年の間に、ツアー初優勝をあげた選手たちは、一様にこう口にする。「早く次の2勝目をあげないと、みんなに忘れられてしまう!」。2006年の「マンダムルシードよみうりオープン」でツアー1勝をあげた増田伸洋も、いまそんな焦燥感を感じている。契約ウェアメーカー「アンダーアーマー」の日本総代理・株式会社ドームのスタッフのサポートを受けて、ダイエットもかねた肉体改造に挑戦したのも2006年。その矢先の初優勝に、効果のほどを実感したものだが、今年から新たに同社と所属契約を結び、「今年はビシっと行くよ!」と燃えている。「…そうでなくちゃ、ほんとうに忘れられちゃうからね」と、冗談まじりに抱負を語る。

昨年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」でツアー初優勝をあげた上田諭尉は、それ以上に危機感を募らせている。というのも昨年の優勝で、「自分としては、知名度もかなり上がっただろう」と、タカをくくっていた。しかし、実際には「一勝じゃ、全然お話にならないと気がついた」という。史上最年少優勝をあげた石川遼ほどのインパクトがあれば別だが、今年34歳の上田ではなかなかそれも難しい。「(去年の優勝で)かなりイケるかなって思ったんですけど、全然ダメ。やっぱり、勝ち続けること。名前を覚えてもらうには、それしかないんだと改めて痛感した」という。

考えてみれば、たとえば芸能人でも「あの人は今」というタイトルで、取り上げてもらえる人は、まだ幸せなほうだということだろう。「そもそも、“そんな人いたっけ”なんて言われることがないよう、頑張らなくちゃ。今年の目標は、とりあえず谷口さんを賞金で抜くこと。ほかにも上手い人は一杯いるけど、とにかく昨年の賞金王を抜いたらなんとかなりそうな気がするからね!」。

そんな上田が自己アピールする絶好のチャンスはやはり今季初戦。連覇を達成すれば、インパクトは絶大だ。「とにかく、もう一度勝ちたい。それが、東建なら最高でしょう?」。増田も上田も、それぞれに熱い思いを抱えつつ、約1ヶ月後に迫ったジャパンゴルフツアーの開幕を待ちわびている。



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