ツアープレーヤーたちのシビアな世界<佐藤信人>
2009/05/03 21:21
約3ヶ月半のオフがあけ、2009年のジャパンゴルフツアーが開幕。ひとまず3試合が終了し、最初のころに会場に漂っていた、どことなくぎこちない空気が、ようやく薄まってきた感じだ。優勝争いを繰り広げた選手は別として、その他大勢にとっては、2戦目の「つるやオープン」あたりまではまだまだ様子見の段階で、そういう選手たちの思いが醸し出す雰囲気が会場の全体を占めていた。
ファンのみなさんは「ようやく開けた!」と大いに期待してくださっていることだろうが、また1年間、シード権をかけて戦う選手たちには期待の中にも不安が入り交じり、複雑な心境であるようだ。プロ17年目の佐藤信人が、つるやオープンで打ち明けた。「僕の場合、開幕はいつも新学期を迎えるような感じでして・・・」。
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緊張のあまり、いつも直前に体をこわすという。昨年は強烈な歯痛、一昨年は胃腸炎。そして今年は1週間前ににぎっくり腰をやってしまった。それって、ちょっと子供の知恵熱みたいだが、つまり選手たちにはシーズンの開幕は、それほどまでにプレッシャーでもあるのだ。
「やっぱりねえ・・・また始まるんだ、と思ったらどっかしら出ちゃうみたいで」と、顔をしかめた。それでも、実際に開けてしまえば体も次第にに順応していくようだ。その週は初日62位と出遅れながら、2日目に65をマークして楽々の予選通過。同組の細川和彦に「佐藤さんだけカップがバケツ!」と絶句されたほど、得意のパットが冴えに冴えて「腰も嘘のように良くなりました!」と笑った。
もちろん、この先もシード権、優勝争いと胃の痛くなるような場面も増えようが、好スコアこそ良薬だ。そうやって、地道に自信を身につけていくしかない。今年39歳を迎えたベテランの選手さえ、そうなのである。今年は初シード選手が13人いるが、その心持ちといったら・・・。想像にかたくない。シビアな世界が今年もまた本格的に幕を開けた。