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<真夏のトーナメントで勝ち抜くための条件とは・・・!?>

「寒い時期より、暑いほうが、体がよく動いていい」というプロゴルファーは多いが、盛夏のツアーも、もちろんしかるべき注意が必要である。脱水症状や熱中症など、油断大敵。ただ水分を取るだけでは足りなくて、塩分やミネラル、糖質などを上手に補給しないとえらい目にあう。そのために、梅干しや塩をキャディバッグに常備している選手もいる。スポーツ飲料も吟味して、持ち歩いている。

まあ、そうはいってもプロはもともと鍛えているし、だからラウンド中に、暑さのために選手が倒れたという症例はさほど多くはないが、気温30度の境を超えた途端に一気に増えるのが、キャディさんの受難だ。

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それもプロゴルファーの場合と一緒でいわゆるプロキャディをなりわいとして、毎週のようにバッグを担いでいる敏腕ならば事故はほとんどない。

問題は、まだ1年未満の新米さんや、その週限りのハウスキャディさんたち。もともと不慣れな上に、プロのトーナメントでバッグを運ぶなど初めての経験という方も多く、極度の緊張も相まって体に支障を来してしまう。真夏のトーナメントは1週間に何件かは必ず、スタッフのトランシーバーに、キャディさんの途中降板要請の連絡が入る。

急きょ学生のアルバイトや、コースの研修生にバトンタッチをお願いすることになるが、倒れた原因を詳しく聞いてみると「選手に気を遣うあまりに水分補給をすっかり忘れていました」とか、「ドリンクを飲む余裕が持てませんでした」などと打ち明ける方もけっこういて、やはりトーナメントという舞台は選手同様に、キャディさんにとっても相当のプレッシャーがかかるものなのだな、ということが分かっていただけるだろう。

ただでさえ過酷な上に、天候不順の影響などで、競技が翌日、翌々日までずれ込むケースはなおさらだ。あれは7月の「トーシンゴルフトーナメント イン レイクウッド」だった。雷雨の影響で初日から2日連続のサスペンデッドとなり、連日早朝からの競技再開に加え、大会2日目は多くの選手が1日36ホールの長丁場を強いられた。しかも季節は梅雨の真っ直中。ジメっとした天候に加え、山あいのコースは急激なアップダウンの連続という二重苦に、百戦錬磨のベテランキャディさんたちすら音を上げたほど。

ある選手は“相棒”の声にならない声を聞いた。「2ラウンド目になると、キャディの目が“もうやめてくれ”と、訴えていた。こっちも、気の毒になってキャディに気を遣うあまりにスコアを崩してしまった」と、苦笑いで打ち明けていたものだ。

もっとも、それが原因で重大事故が起こってしまえば笑い事では済まない。そうならないためにも、選手も大会関係者も細心の注意を払っていかなければならないし、何よりキャディさん本人に、無理をさせてしまうような状況を作ってはならない。普段は完璧に仕事をこなす“凄腕”でも体調不良の日はあるし、単なる根性論で片づけられる問題ではない。

個人スポーツのゴルフでは、唯一キャディさんだけが選手の味方。それをより深く理解していたわり合い、支え合う者たちだけが、より心地よい美酒に酔えるような気がしてならない。

写真は7月の「トーシンゴルフトーナメント イン レイクウッド」で今季初Vをあげた池田勇太もまた2日目に1日36ホールをこなし、3日目にはホールアウトが夜の7時を回るという過酷な条件を、専属キャディの福田央さんとの二人三脚で乗り切った。普段から、池田の福田さんへの信頼の厚さは半端ではなく、まさに勝利の女神に魅入られた最強コンビと言えよう。

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