薗田峻輔の戦績・プロフィールなど
<薗田峻輔が小学校訪問で見せた“王様”ぶり>
ジャパンゴルフツアーメンバーが、全国各地の小学校にゴルフの楽しさ、面白さを伝えて歩く“ゴルフ伝道の旅”。2009年から始まったこの取り組みでは、普段のツアーでは絶対に見ることの出来ない選手たちの意外な素顔が伺えるという、もうひとつの醍醐味がある。
先週15日の水曜日に大阪府の箕面市立東小学校を訪れた薗田もまた、まさに「へえ~!」とボタンを押したくなるような、トリビアな一面を見せてくれた。
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まず最初はスナッグゴルフの実技講習会と、午後からは「夢を持とう」をテーマにした授業を行う。これが“旅”の定番コースだが、たいていの選手はみな、大勢の子供相手に長時間、喋らなければならないことに、強いアレルギー反応を示す。緊張で前の日は眠れなかったとか、直前まで「どうしよう」とか不安がる選手も少なくないのだが、今回の”伝道師”はさすが、あの石川遼に「王様」と言わしめた大物ぶりであった。
現地に赴く前に朝食を取りながら、スタッフと軽い打ち合わせをする、というのもひとつの定番なのだが、あいかわらず飄々と集合場所に表れた薗田は、これから大仕事をひかえているという割には無防備で、特にスタッフに質問をぶつけてくるでもない。
最初は世間話で様子をうかがっていたスタッフが、「ところで講演なんですが・・・」と、いよいよこちらから切り出すと、ごくあっさりと「ああ、それね。ちゃんと下書きして来ましたよ」と、カバンからさらりと取り出した。
授業で子供たちに話してもらうことになっている、生まれてから21年間の自身の人生年表だ。何かのプリントの裏のメモ書きに、顔をつきあわせるなりスタッフ一同、思わず声を上げてしまった。「わぁ~、すごくきれいな字ですね、習字ならってたんですね」。「いえいえ、習ってはいないんですけど」と首を振りつつ、ちょっぴりドヤ顔の薗田。「実は中学時代に書いた習字で都展に選ばれたことはあります」。と、これには再び一同びっくりするやら、関心するやら・・・。
確かに、さらりとペンを走らせた文字はバランスが良く美しく、なにやら芸術性すら感じさせる!?(「本当に薗田クンがこれを書いたの?!」)。つい、目の前の青年と文字を見比べたスタッフの心のつぶやきを読み取るかのように、「俺、血液型O型だけど」と前置きしつつ、「なんか字を書くとか、あと荷物をちゃんと整理するとか。そういう部分は俺、意外と几帳面なんだよね」と、明かした。
聞けば、何事も突き詰めなければ気が済まない性格でもあるようで、たとえば中学時代の豪州留学は「本格的に英語を学びたかったから」だし、あとはお父さんの英才教育もあって、ゴルフの他にも水泳にサッカーにピアノにと、少年期はそれこそ、習い事のデパート状態で、友達とおちおち遊ぶ暇もなかったようだ。しかもどれも高いレベルで成果を上げたそうで、「字も同じ。なんか、自分の中で出来るだけ完璧に、きれいに書きたくなっちゃうんだよね」と、美しい文字もそのたまものでもあるようだ。
だがその一方で、行動はまるで野生児そのもの。小学校に着いたら、まずたいていの選手は講習会が始まるまでお茶を頂きながら、じっと校長室で待機しているのが常だが、薗田は違った。挨拶もそこそこに休み時間の子供たちの輪の中に自ら飛び込み運動場を駆け回ったのは、過去17人の伝道師の中でも初めてのことであり、また講演会の前に「汗でびちょびちょ」と言って、校長先生に更衣室に案内されて、衣装替えをしたのも薗田が初であった。
そして堂々たる“教鞭ぶり”で講演会を立派にこなしたあとは、今度は放課後の運動場に駆け出していき、子供たちとサッカーに興じるなど、本当にそんな選手は薗田が初めてで、あまりのパワーとその行動力に、スタッフも右往左往で終わったころにはみなへとへとに疲れきっていた。
恐るべき21歳、薗田峻輔。石川が「王様」と呼んだ本当の理由が、これでようやく理解出来たようなそんな気分。もちろん、スタッフの「疲れ」もけっして不快なものではなく、むしろ良い汗をかいたあとの爽やかさ、みたいな。何事にも全力投球で、まさに「よく学び、よく遊べ」を地で行く薗田から、今回の子供たちも言葉以上の何かを感じ取ってくれたのではないかなと思うと、それもまた嬉しい限りである。