デビッド・スメイル、「故郷に帰ってきた」思いで記念すべき大会2勝目! /カシオワールドオープンゴルフトーナメント
<その心中を想像するだけでも胃が痛くなりそう・・・男子ツアーは今年もいよいよ佳境に>
好きなことを生業にして、自由きままな生活は、はたから見れば羨ましくもあるが、ゴルフ業界を取り巻く現実は、甘くない。みな生き残るために精一杯で、しかも生き残れる人はほんのひと握り。おまけに今の時期は、シード権争いの真っただ中だ。生活の苦しみがその肩にのしかかるために、みんな戦々恐々としている。
「つらいっすよ・・・」とついぼやいたのはそのプロたちを支えるキャディさんたち。試合中に、ただバッグを担げばいいと思ったら大間違い。中にはコースだけではなく、選手にほとんどつきっきりで寝食をともにして、マネージャー業を兼ねるキャディさんもいて。この時期のプロたちの殺伐とした思いを受け止める役割を、求められることもある。
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時には理不尽な要求も、仏の笑顔で我慢するのは「選手の苦しみが分かるから」。プライバシー保護のために発言者の名前は控えさせていただくが、「この時期はもうみんな心も体も一杯一杯なんです」。連戦でたまりにたまった疲れと、将来への不安。「結果が出ている選手ならまだいいんです。でも、そうでない選手にはやっぱりきつい。みんな、今の時期は気力だけで踏ん張っているようなものなので・・・」。
それはキャディさんたちにとっても同じだそうで、「みんな、悲鳴をあげたいのを必死で耐えている」と、数人のキャディさんたちが口々に訴えたのは、先週のダンロップフェニックス。しかもこの時期の大会は、出場人数が80~90人ほどと、春先よりうんと減ったにもかかわらず、予選カットは60位タイと変わらないため、通るより落ちるほうが難しいという状況ながら、予選落ちを喫すれば、目も当てられず、選手たちのイライラもピークに達するというわけだ。
しかし、そんな殺伐とした状況も例年は先週でひとまず終息するという。最終戦は2週間後の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だが、同大会は選ばれし者にしか出場資格がない頂上決戦なため、大多数の選手が今週の「カシオワールドオープン」にて、今季の全日程を終える。
「やっとこれで最後という気持ちで、選手もキャディももうひと頑張りができる」。とはいえ、シード権のまさにボーダー線上にいる選手には引き続き厳しい戦いには変わりなく、先週は17年連続のシード権がかかるデビッド・スメイルは「それを思うと夜も眠れないよ・・・」。その心中を想像するだけでも、胃が痛くなりそうだ。