イ・ミリムがメジャー初制覇 畑岡7位 渋野51位
2020年 ANAインスピレーション
期間:09/10〜09/13 場所:ミッションヒルズCC(カリフォルニア州)
無観客でも“18番の壁” イ・ミリムは3度のチップインからメジャー初制覇
◇海外女子メジャー◇ANAインスピレーション 最終日(13日)◇ミッションヒルズCC(カリフォルニア州)◇6763yd(パー72)
本来ならば、“ある必要のないもの”も勝負の行方を左右した。周囲をウォーターハザードで囲まれた最終18番(パー5)。毎年の大会でグリーンの左から奥にかけて設けられるホスピタリティテント(スタンド)はことし、コロナ禍で設営されなかったにも関わらず、選手にとっては同じように感じられる壁がそびえていた。
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巨大なスポンサーボードとして同じ場所に存在した今大会も、数人の選手たちは2オンを狙うケースのコースマネジメントのひとつにした。グリーンをオーバーするようなショットも、ボールをこの壁に当てて止めること、またはバックスイングができない場合は無罰で救済を受けることもできる(実際には壁の下を通ったり、思わぬ方向に弾んで池に入る可能性もあるが)。歓迎する選手もいれば、ネリー・コルダが「正直に言えば、なければいいのに。アイランドグリーンでプレーする方がクール」と語るなど、賛否が渦巻いていた。
2018年以来となるツアー通算4勝目を、メジャー初勝利で飾ったイ・ミリム(韓国)は「後ろのボードを有効活用しようと考えていました。練習ラウンドのときに試していた」という一人だった。首位に2打ビハインドで迎えた最終ホール、フェアウェイからの2打目はフィニッシュでクラブから片手を離しながら、壁の前へ。ドロップをした後、ウェッジでカップに沈めた。なんとこの日、自身3回目のチップイン。「今まで2回はあったけれど…」という驚きの一打でイーグルを決め、首位に並んでホールアウトした。
プレーオフの相手はコルダとブルック・ヘンダーソン(カナダ)。同じ18番での1ホール目もイは2打目をグリーン左奥のエッジまで運び、ただひとりバーディを奪った。
「いまだに信じられない。家族と会ったら実感がわいてくると思うんだけど。4ラウンドのうち、きょうが一番苦労していた。ショットが上手くいかなくて」と、運にも感謝して驚いた29歳。韓国ツアーで3勝を挙げてから、2014年に米ツアーに本格参戦後7シーズン目でビッグタイトルをつかんだ。“壁”を背にした恒例のポピーポンドへの優勝者のダイブは、はしゃぐキャディに遅れて控えめに。「水が怖いわけじゃないんだけど、プールがちょっと深そうで。あの瞬間は少し躊躇しました」と照れ笑いした。