西村優菜も出場 国内女子「ブリヂストンレディス」テレビ放送予定
2023年 コグニザント ファウンダーズカップ
期間:05/11〜05/14 場所:アッパーモントクレアCC(ニュージャージー州)
キャリアではじめての“綱渡り” 西村優菜が対峙する米ツアーの壁
◇米国女子◇コグニザント ファウンダーズカップ 最終日(14日)◇アッパーモントクレアCC (ニュージャージー州)◇6656yd(パー71)
「正直、想像していたよりも結構、苦戦している感じはある」。西村優菜はルーキーイヤーの序盤戦をこう振り返った。昨年末の予選会を通過して飛び込んだ米ツアー。3月から6試合に出場し、第1回のリシャッフル(出場優先順位の入れ替え)を前に、目標にしていたポイントランク80位入りを達成した。夏場の多くの試合に出場できるカテゴリーに“昇格”するが、必ずしも希望だけに満ちているわけではない。
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22歳にして日本ツアー6勝。きょうと同じ“母の日”に「ワールドレディスサロンパスカップ」で国内メジャーを制した2年前と、今ある心境は大きく違う。「すごく頭を使うコースばかり。4日間やるとすごく疲れてくる」。米国でティオフしてからは優勝争いではなく、カットラインとの攻防ばかり。主力選手として大勢のファンを引き連れた国内ツアーでの日常とは違い、ロープの外は閑散としている。
「日本ではショットで流れを自分でつかむゴルフができた感じがあるけれど、こっちに来るとそれがなかなか難しい」。米国で貫くべきスタイルをなかなか見つけられない。技術的には「やっぱりスピンがかからないのが一番、自分の中では大きい」。日本ではスキルの高さを前面に出してプレーしてきたが、想像以上に米ツアーのコースは手ごわかった。
「スピンをかけられず、ボールを止められなかったり、手前から行きたいけれど、花道が両側にかけて落ちていたり。そうすると、ターゲットがすごく狭いので、スピン量を上げることプラス、もうちょっといい戦い方があるんじゃないかな…と」。グリーンは硬く、周辺はワナだらけ。攻略に“ごまかし”が効かない。今大会前にはクラブのロフトをわずかに寝かせるなど工夫を施して臨んだが、それが完ぺきな解決策になったとは言い難い。
そうは言っても、いま目に映る課題は、2カ月で懸命に試合をこなしたことで炙り出されたものでもある。最初のリシャッフルでの目標をクリア。予選通過が求められた今大会は初日「78」で崖っぷちに立ち、2日目に「67」と巻き返してカットラインを潜り抜け、週末も苦しみながら順位を上げた。思えば、4月のメジャー初戦「シェブロン選手権」も開幕4日前にフィールドに滑り込んでいた。
現地での待機も辞さない、まさに“綱渡り”で試合を重ねるスケジュールは「あまりないかな…」と、これまでのキャリアでは考えられなかった。ナショナルチームで鳴らした学生時代を経てプロ入り。「プロテストに通って、(国内ツアーの)QTもうまくいって…という感じでずっと来ていた。もちろん調子が悪い時期はあったんですけど、ここまで毎試合プレッシャーを感じることはなくて。疲れました」と浮かべた苦笑には、挑戦を後悔する様子がない。
序盤戦でキャディを務めたマーク・ワーリントン氏はかつて、有村智恵や宮里美香ら日本の先輩もサポートしてきた。「彼女(西村)は確かに(体が)小さいし飛距離は出ないが、ショートゲームは問題ない。だんだん慣れてきてプレーも安定してきた。そのうち自分に合うコースがきっと出てくるはず。日本人はゴルフとの向き合い方が素晴らしいことを僕は知っている」
道のりはまだ険しい。西村は「でも、やっぱりこういうタフなところでやっていると、すごく向上心が出てくるというか。『もっとこうしたい』というのがある。そう感じながら試合ができることが、ちょっと日本ではない。成長かなと思います」。海を渡らなければ知らなかった苦労なら、喜んで受け入れられる。(ニュージャージー州クリフトン/桂川洋一)