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スイング不振に救急搬送も チームを再編した稲見萌寧の434日ぶりV

◇日米女子ツアー共催◇TOTOジャパンクラシック 最終日(5日)◇太平洋クラブ美野里コース(茨城県)◇6598yd(パー72)◇晴れ(観衆3528人)

稲見萌寧が2022年「ニトリレディス」以来、434日ぶりに優勝を飾った。19年から毎年獲得を続けてきたタイトルを、今年は11月にしてようやく手中に収めた。

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19年に挙げた初優勝から始まり、20年に1勝、21年に8勝。21年の「東京五輪」では銀メダルを手にする絶好調の時期を過ごした。腰の痛みと向き合いながらも22年は2勝を重ねたが、「苦しく、大変な年」と回顧する。師事する奥嶋誠昭コーチとは離れ、今シーズンは新たなものを取り入れては試し、また違うことを試す。そんな試行錯誤の一年だった。

今週、稲見の周りにはコーチ、トレーナー、パッティングコーチとサポートメンバーが勢ぞろいした。コーチには、男子プロゴルファーの額賀辰徳をはじめ複数の選手を指導してきた柳橋章徳氏が新たに就いた。

もともと練習環境を通して知り合いだった2人は、6月「アース・モンダミンカップ」開催週の月曜日に対面してスイングを見たことが師弟関係のはじまり。柳橋コーチは言う。「知らない番号から連絡がきたと思ったら(稲見の)お父さんで、『誰も(スイングを)戻せない、一回見てほしい』と。彼女は一回のスイングの中で5、6個のポイントを考えながら打っていた。もっと動きはシンプルなんだよって。僕は情報を整理しただけ」

稲見は自他ともに認める完璧主義者だ。一つのミスも許せない性格に、柳橋コーチは「小学5年生の時から知っているけど、それがさらに自分を苦しめているような感じで。賞金女王の時(20-21年)は調子も良かっただろうけど、そこからがすごく大変そうだった」という。

春先に新型コロナウイルスに感染して体調を崩した稲見は、今季1試合だけ棄権をした。5月「サロンパスカップ」の開幕前日に首筋から顔にかけて、じんましんに見舞われ呼吸困難になった。救急車で運ばれ、何とか体調を整えて初日に臨んだが、9ホール後にプレーを断念。涙を流した。「体調が悪い時にこそゴルフの調子が上がることがある。だからプレーをしてみたけど…アレルギーとかではなく、コロナの後遺症とストレスじゃないかって」。3試合連続予選落ちのさなかに、体調不良が追い打ちをかけた。

昨年のオフから取り組むスイング改造も思ったような成果につながらない。柳橋コーチは「うまくいかなくてどん底のような。悪かった時は根深い感じで、気持ちよく打っていそうでも気持ち悪さは残っているような感じだった」と振り返る。

現在のチーム体制が整ったのは7月あたりから。初めての教え子の優勝に、柳橋コーチは「感無量というか、言葉にならないですね。彼女のつらい時を知っているので、そこからの優勝。感動です。調子がいい、悪いを繰り返してきた。試合がない日は6、7時間は練習をして、誰よりも遅くまで会場に残っていた。練習は裏切らないですね。彼女は強い」と頬を緩めた。(茨城県小美玉市/石井操)

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