豪快さと繊細さ持ち合わせる勝みなみの底力 最終日のカギ握る“1番パー3”からの序盤ホール/解説・上田桃子
◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 3日目(1日)◇ロイヤルリザム&セントアンズGC (イングランド)◇6601yd(パー71)
2026年の女子メジャー最終戦は残すところ18ホールとなった。ムービングデーはカットライン上の55位で決勝ラウンドに進んだ古江彩佳が、早い時間帯に猛チャージをかけて急浮上。ともにトップ10でスタートした桑木志帆はメジャー初制覇へ首位に食らいつき、勝みなみもチャンスを残す位置に踏みとどまった。中継局U-NEXTの「日本勢徹底マークLIVE」チャンネルで解説を担当した上田桃子が最終日の勝負の行方を占う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
会心のノーボギーラウンドで古江彩佳が浮上
ロイヤルリザム&セントアンズGCの風は3日目に入って、いよいよ本格的に強くなったようでした。上空を吹き荒れ、フラッグなどに当たる風音がしっかり聞こえるようになり、グリーンも硬さを増してコースコンディションが難しくなった印象です。
それぞれの選手のスコアが上下したムービングデーに、古江彩佳選手が「65」と素晴らしいプレーを見せてくれました。最終18番でポットバンカーからのショットを強いられるなどピンチがありながら、ノーボギーでまとめられたのが何よりも大きい。
ホールアウト後のコメントでも、ショットのチェックポイントが日に日にうまくいくようになっていると話していたので、強みであるパッティングに集中力を向けられているのではないでしょうか。コーチであるお父様(芳浩さん)と修正ポイントを見つけ、取り組みが明確になった時の戦いぶりは頼もしくあります。
勝みなみ、桑木志帆のストロングポイント
ムービングデーを上位からスタートした勝みなみ選手と桑木志帆選手はともにショット力に優れたプレーヤー。米ツアーを主戦場とする勝選手は豪快さがまず魅力で、ショートゲームにも繊細さがあり総合力が高い。ラウンド中に同伴競技者とたびたび笑顔で話す姿からは、コースで楽しんでいる様子や遊び心も感じさせてくれます。
日本ツアーでプレーする桑木選手は今季、4回目のメジャー。曲がらないショットはリンクスコースでも大きな武器で、ウィークポイントがやはり少なく、パッティングも年々良くなってきました。以前はクロウグリップでストロークしていたところを、いまは握りもオーソドックスな順手に。今大会はアドレス時の身体の立ち方が独特で、貪欲に様々なチャレンジに取り組んでいる様子がうかがえます。
上田桃子×全英女子オープン
「全英女子オープン」には過去9回出場しました(注:初出場の2008年に7位、10年に9位、20年に6位とトップ10入り3回)。当時は個人的に「全英に来たからには暴風の中でプレーしてみたい」と思ったほど(笑)。風が好きで、ロングパットが得意だったので、スコアを伸ばし合う展開よりも、耐えながらプレーするスタイルが合っていたようにも感じます。ポットバンカーは日本や米国になく、いま振り返るといい思い出のひとつ。まあ、プレーしていた時は決して楽しめるようなものではありませんでしたが…。
キャリアで2回目の全英をプレーしたのが、ここロイヤルリザム&セントアンズGCでの2009年大会(55位)でした。この年、出産を経て初めてメジャーチャンピオンに輝いたカトリオナ・マシュー(スコットランド)の英国での存在感が強く記憶に残っています。
コースで特徴的なのがパー3の1番ホール。パー4やパー5で始まる他のコースとはやはり雰囲気が異なります。スタートホールでバタバタしたくないと思うのが選手心理。このゴルフ場はそれを簡単には許してくれません。ティショットを入れてはいけないグリーン左サイドのバンカーに入れ、出だしでボギーやダブルボギーを喫するシーンがよく見られます。
スタートの3ホールを静かに滑り出し、5番(パー3)までにペースをつかんで、パー5が続く6番、7番でスコアを伸ばして勢いづくのが理想的な流れ。首位を追いかける立場の選手は、風をはじめとするコンディションやコースセッティングがより難解な方が、チャンスがあると思えるはずです。