“魂が抜けた”予選落ち「日本に帰ってどうするんだ」 西村優菜が米ツアー撤退危機からたどり着いた歓喜
◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 presented by P&G 最終日(27日)◇ピナクルCC (アーカンソー州)◇6438yd(パー71)
慣れ親しんだ母国のツアーで自信を取り戻すつもりが打ちのめされた。西村優菜は7月の日本ツアー「大東建託・いい部屋ネットレディス」で予選落ちを喫した。英国での米ツアー2試合の出場を逃したことを受けてのスポット参戦。ツアー新記録の通算5アンダーまで上がったカットラインに届かず、2日間で終えたメンタルはボロボロだった。「終わって1週間くらいは魂が抜けていた感じ。死んでました」。冗談めかして振り返ることができるようになるまで、壮絶な葛藤があった。
昨年12月に2度目の最終予選会(Qシリーズ ファイナルステージ)をクリアして迎えた4年目の米ツアーはショットの状態が上がらず苦戦が続いていた。同学年の古江彩佳とペアを組んだダブルス戦「ダウ選手権」で5位に入るも、そこからメジャー2試合を含めて3試合連続予選落ち。大東建託を終えたタイミングで「日本に“スイッチ”することも、選択肢としてはありました」と、米国からの撤退も考えていたという。
日本でなら…と考えていたわけではない。むしろ、その逆だった。「『日本に帰ってどうするんだ』っていうのも自分の中であったし、いまの日本で戦えるとは全く思わなかったし、自信も全くないし…」。福岡ではソフトなコンディションで伸ばし合いが展開される中、改めて日本選手の「まっすぐ打つ技術」の高さを目の当たりにした。「いまの自分とのレベルの差をLPGA(米ツアー)でも、JLPGA(日本ツアー)でも感じてしまって…。分かってはいたつもりだったけど、実際(結果として)来ると、すごいショックだった」
精神的に激しく落ち込み、「モチベーションがほぼゼロだった」という日本でのオープンウィーク。自分自身と向き合うだけでなく、話をする機会があった他競技のアスリートを含め、さまざまな人に相談もした。「『踏ん張りどころだよ』っていう話もありましたし、でも『踏ん張りどころが長いな』と思っている自分もいたり…」。いろんな意見を踏まえた上で自らの心に正直に動こうと決めた。
「やっぱり、こっち(米ツアー)で勝ちたいっていう思いは消えないので。それを実現するためにどうするか」。キャリアにおける大きな目標がブレることはなかったが、米国に戻るにあたって考え方に少し変化を加えた。限定的な資格で戦うシーズンはメジャー、欧州シリーズ、アジアシリーズ、翌シーズンのカテゴリー…と絶え間ない出場権争いで線引きされ、そのたび訪れるボーダーラインとせめぎ合ってきた。「そこを考えてゴルフをすることにちょっと疲れちゃったところもあって…」。先を見据えて数字的なノルマを課すのではなく、その日コースで向き合う技術的なテーマにフォーカスすることで少し心は軽くなった。
もともと150cmの小さな身体に人一倍の負けん気を宿し、ストイックに戦ってきた。自分を許す“幅”を広げることに抵抗がなかったと言えばウソになる。「『そんな感じでゴルフやっていたら、甘いんじゃない?』って思っちゃいますけどね」。もがき苦しみ、悩み抜いて迎えた待望の瞬間だった。(編集部・亀山泰宏)