「続・△パター戦争」 戦いは男子にも飛び火 “和合”でバッチバチ
2023年 ウェルズファーゴ選手権
期間:05/04〜05/07 場所:クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)
マックス・ホマが心がける“スパゲティアーム”とは?
◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 事前(3日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7538yd(パー71)
今大会、ディフェンディングチャンピオンとなるマックス・ホマは、今季すでに2勝を挙げ、フェデックスランキングも3位と好調を維持しながら連覇に挑む。日本では他の世界トップランカーほどの人気はないように思えるが、実はそのスイングがコアなファンから羨望のまなざしで見られているのはご存じだろうか。
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ゆったりとしたスイングリズム、腕を使ってないであろう力感の無さ、そして決して打ち込まずに球だけを拾うようなシャローな軌道(緩やかな軌道)は、パワーヒッターがそろうPGAの選手の中でも特異と言っていいかもしれない。彼はいったいどのような感覚で体を動かし、球をとらえているのか? プロアマ戦が終わった後のホマに、そのスイングの肝を直撃してみた。
―あなたのスイングは日本でもファンが多いですが、どのような体の使い方を意識していますか?
ホマ 体の正面でボールをとらえるのが前提で、バックスイングは体を大きくターンさせ、あとは大きなフォロースルーを取ること。上手く打てれば球が遅れて出てくるような感覚になり、打ち出しも高く出るんだ。
―けっこうシャローにクラブを下ろしているように見えます。
ホマ そうだね。僕はいつもシャローな軌道を意識しているよ。芝の上からであっても払って打つような感覚さ。僕は人工マットの練習場で育ったからね。マットにクラブが触れないで打つような練習もしたよ。
―人工マット!? 芝の練習場じゃなかったのですか。
ホマ ゴルフを始めたときのホームコースの練習場がマットだったんだ。だから芝から打つことがほとんどなくて、マットの上のボールをどう打つかでゴルフを覚えたんだ。上から打ち込んだ方が楽に打てたかもしれないけど、それを誰も教えてくれなかったからね。マットの抵抗を受けないように打つことを考えていたら、気づけば軌道が緩やかになったんだ。
―その独特のゆったりとしたスイングリズムはどう意識しているんですか?
ホマ 打ち急いでミスした時は自分でもすぐわかるから、とにかくスムーズにクラブを上げ下げするように心がけているよ。スイングに勢いはいらない。さっきも言ったけど体を大きくターンさせるだけで、ほんと余計な力はいらないんだ。クラブスピードを出すには重力を使えばいい。トップまでクラブを上げたら、あとは重力でクラブを下ろしてくる。そして体をしっかりとフォロースルーまで回していくだけ。打ち急ぎだけは禁物さ。
―腕を振る意識はないということ?
ホマ 腕はまったく使わない。腕の感覚は“スパゲッティアーム”だよ。スパゲティみたいにゆらゆらと振られる感じかな。
そう言って、腕をだらーんとさせてシャドースイングしてくれたホマ。なるほど、確かに茹でた後のスパゲティのような感じなら脱力はできそう。おそらくアルデンテよりは、アメリカでよく出てくる“ちょっと茹で過ぎなパスタ”なんだろうなと勝手に想像してしまった。
それにしてもホマが「人工マット育ち」とは、どこか親近感が湧いてしまう…。はてさてホマの連覇の行方は、明日からのスパゲッティアームに注目してみよう。(ノースカロライナ州シャーロット/服部謙二郎)