スコッティ・シェフラーの50球 試合前の練習で「球を打つより大事」なことは?
◇米国男子◇ザ・CJカップ バイロン・ネルソン 23日(3日目)◇TPCクレイグランチ(テキサス州)◇7385yd(パー71)
本当に試合前なのだろうか。世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーのスタート前の練習を見ていると、とても優勝争いをしている選手の練習とは思えないほどリラックスした雰囲気で、キャディやコーチと談笑をしながら球を打っていた。球を打っては後ろを振り返り会話を始める。その余裕があるからこそ、試合でも好成績を出せるのだろうか。
さて、前置きが長くなった。シェフラーの試合前の雰囲気を観察しに来たわけではない。世界王者が試合前にどのぐらいの球数を、どの番手で、どのように打っているのかをチェックしに来たのだ。首位と4打差で迎えた3日目、そのスタート前の練習の内訳を報告したい。
シェフラーの朝はグリーン上から始まる。メジャーではパッティングコーチのフィル・ケニオン氏と入念な練習を行うが、今週のような通常大会ではキャディとともに決められたメニューをこなす(パッティングの朝練メニューは別途紹介したい)。この日はひと通りボールを転がした後、打撃練習場へ移動。時計を見ると午前10時49分、スタートのちょうど45分前だった。
キャディバッグからウェッジを取り出すと、タオルでグリップを拭き、いきなりフルショットで球を打ち始めた。番手は55度で、特定の目標を定めるのではなく、ウォーミングアップのように方向を変えながら球を打ち分けていた。全部で9球、毎回グリップをチェックしながら打っていた。特に注意していたのは左手の握り。一度左手で握って感触を確かめ、そのままヘッドを宙に上げ、右手を添えつつフェースの向きを確認する。このルーティンは他の番手を打つ際も徹底していた。
続いてピッチングウェッジを4球。これもフルショットで、球筋はフェード。その次はグリップトレーナーがささった6番アイアンで5球打った。このタイミングでも改めて握りを確認する。いかにグリップを重視しているかがうかがえる。その後は8番アイアン4球、6番アイアン4球、4番UT2球、5番ウッド3球、3番ウッド3球、ドライバーが最も多く10球。基本はフェードで、時折ドローも出ていた。
ドライバーの後は7番アイアンで3球。そして最後はバッグから距離計測器を取り出して距離を確認し、60.5度のウェッジでその距離を打つ。これは3球すべてコントロールショットだった。
数えると全部で50球。タイガー・ウッズのように左右に球を曲げたり、高低を打ち分けたり、スティンガーを織り交ぜたりすることはなく、番手を変えながらシンプルに打っていた。
ひとつ明確に言えるのは、グリップの重要性だろう。それ以外に優先すべきことはないと言わんばかりに、左手の握りを繰り返し確認していた。「グリップが正しく、フェースの向と一致していればボールは真っすぐ飛ぶ」。そんな言葉が聞こえてくるようだった。ランディ・スミスコーチもそばにいたが、アライメントを確認する程度で、スイングに関しての会話はほとんどなかった。
最後に球数の内訳を整理しておく。
・55度:9球
・PW:4球
・グリップトレーナー:5球
・8番アイアン:4球
・6番アイアン:4球
・4番UT:2球
・5番ウッド:3球
・3番ウッド:3球
・ドライバー:10球
・7番アイアン:3球
・60.5度:3球
ドライバーが最も多いのには驚くが、それでも合計50球(コイン2枚分!)。練習の順番と球数なら世界ランキング1位の真似もできそうだ。(テキサス州マッキニー/服部謙二郎)