グランドスラム持ち越しのシェフラー 勝者への賛辞とニューヨーカーへの“苦言”
◇メジャー第3戦◇全米オープン 最終日(21日)◇シネコックヒルズGC(ニューヨーク州)◇7440yd(パー70)
ウィンダム・クラークの完全優勝にもお構いなしに、ニューヨークのギャラリーはハッピーバースデーの大合唱でスコッティ・シェフラーをお祝いしていた。30歳の誕生日に6打差逆転で「全米オープン」初制覇を決め、史上7人目のキャリアグランドスラムを達成する――。世界最強の男でもドラマの筋書きのようにはいかず、最終組での直接対決に敗れた。
差を詰めてプレッシャーをかけたい状況で1番からボギーが先行した。5番(パー5)でバーディを奪い返しても波に乗れない。「ちょっと雑なプレー」と言った7番(パー3)はガードバンカーから2打目が傾斜で再びバンカーに落ち、4m強を沈める必死のボギーだった。10番で5mのバーディパットを決めた後は、惜しいパッティングの連続で何度も天を仰いだ。
目の前で逃げ切りを許したこの日のプレーよりも、出足の鈍さを嘆く。濃霧によりスタートが2時間遅れた初日は午前組で「72」とオーバーパーをたたいた。第1ラウンドを6アンダーで滑り出したクラークとの8打差が最後まで重くのしかかった形。「今週も初日の結果が響いたと言えるかもしれないね。ここ数年、初日は悪くなかったんだけど、(今季は)なぜか大会序盤にキレのあるプレーができていない。優勝に必要なリードを築けず、追いかける展開が一年中続いている」。不動の世界ランキング1位に君臨しながら、初戦だった1月「ザ・アメリカンエキスプレス」以来の勝利が遠い。
不満を解消できない状態でも、世界一のゴルファーを決める戦いでしっかりと優勝争いには加わって存在感を示した。グランドスラム達成を願うファンの熱い声援に感謝しつつ、ともすればクラークのミスをはやし立てるようなリアクションには苦言を呈する。「ニューヨークの人たちは、やっぱりタフ。自分の応援はうれしいものだけど、ボールがグリーンから外れていくような場面で歓声が聞こえてくると、少しやり過ぎにも感じた」
その上で勝ち切ったクラークを称賛した。「ウィンダムは過小評価されている“スクランブラー”だと思う。ピンチを切り抜ける能力が非常に高い。きょうのギャラリーに対しても見事に立ち向かったことは、彼の真価を物語っている。まさにチャンピオンにふさわしい」。勝者をたたえる振る舞いにも貫録がにじんだ。(ニューヨーク州サウサンプトン/亀山泰宏)