キラデク・アフィバーンラト略歴
2018年 CIMBクラシック
期間:10/11〜10/14 場所:TPCクアラルンプール(マレーシア)
「夢がかなった」アフィバーンラトはタイ初のPGAツアーメンバーに
◇米国男子◇CIMBクラシック 最終日(14日)◇TPCクアラルンプール(マレーシア)◇7005yd(パー72)
約1カ月前の先月20日、タイでは期待のルーキーの門出が祝われていた。29歳のキラデク・アフィバーンラトが今季、同国出身選手として初めてPGAツアーのメンバーに昇格。ツアー幹部がバンコクに足を運び、新たな一歩を世界に知らしめた。
<< 下に続く >>
アフィバーンラトは昨季(2017―18年シーズン)となる今年3月の「WGCメキシコ選手権」、「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」でいずれも5位の成績を残した。その後、メジャーを含むツアー大会9試合に出場。メンバー外からフェデックスカップランキング125位相当以上のポイントを稼いでシード権を獲得した。
8歳で競技を始め、18歳でプロ転向。2009年から参戦した日本ツアーでの勝利はないが、13年に欧州ツアーとアジアンツアーの共催競技「メイバンク・マレーシアオープン」で初優勝を遂げ、ステップアップにつなげた。世界中を巡って米国にたどり着き「夢がかなった。ツアーの一員になることが子どものころからの目標だった。20年経ってついにツアーカードをつかんだんだ。この気持ちをどう表現していいか分からないよ」と感激した。
タイ出身選手は世界的にも年間で多くの試合に出ることでも知られている。自国には世界ランキング対象外のローカルツアーがあり、海外ツアーで活躍するベテラン選手も多く参加。アフィバーンラトは「最近、3週間のオフを取ったんだけど、自宅で20日以上過ごしたのはこの7年で初めてだった」という。昨年末にはアジアンツアー下部ADTに参戦して優勝し、世界ランクを上げて2018年「マスターズ」(44位)出場につなげた。体重100㎏を超え、歩くたびに上半身の脂肪が揺れるデッカイ体の中には、タフなハートが入っている。
米国では新しくフロリダ州に拠点を持つつもりだというが、「それも僕の“ボス”次第。奥さん次第なんだ」と笑う。「彼女が住みたいところに住むよ。妻が幸せなら、人生は楽しいだろうから」
ツアーメンバーとしての初戦、主催者推薦で出場したマレーシアでの「CIMBクラシック」は通算11アンダーの33位タイで終えた。1989年生まれは小平智と同い年。「何も変えない。同じことをやり続ける」と自信を口にする。「10年(海外)ツアーでやってきた。世界のトップ選手と戦う経験を十分積んできたと思っている。米国のコースや天気、芝に慣れるまでに数カ月必要だろうけど、今までやってきたことを信じたい」と強く意気込んだ。(マレーシア・クアラルンプール/桂川洋一)