イニスブルックリゾートの名物ホール:カッパーヘッドの8番
2014年 バルスパー選手権
期間:03/13〜03/16 場所:イニスブルックリゾート(フロリダ州)
ノーボギーのダニー・リーら4人が暫定首位
2014/03/14 15:08
By Jeff Shain, PGATOUR.COM
「バルスパー選手権」初日のティタイム前、ケビン・ナがウォームアップをしようと早朝のイニスブルックの練習場を訪れた時、温度計は約9度をさしていた。
20球を打ち終えてクラブハウスに引き返したカリフォルニア州在住のナは、ティタイムまで20分ほど待っていた。
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「あまりにも寒過ぎたね」と、初日を1アンダー「70」で終え、今大会のトップ集団4人から2打差につけているナは言う。「寒さに震えていたよ。昨年腰を痛めた身としては、つらいところだね」。
夜通し吹き荒れる冷たい風がフロリダの“西海岸”をウエストコーストスイングの停泊地にしたかのようで、重ね着がマストだったこの日。最高気温は15度から18度の間に留まり、朝は風速約9メートルもの強風にも見舞われた。
大会初日を終え、マット・エブリー、パット・ペレス、グレッグ・チャルマース、そしてダニー・リーの4名が3アンダーで首位につけている。
その他のプレーヤーはイニスブルックリゾートのカッパーヘッドコースでの寒くて厳しい状況の中、プレーを余儀なくされた。
「4枚も重ね着したよ」と言うのは、「70」をマークしたベン・クレイン。「厚手の手袋を持ってくるべきだった。それほど寒かったってことだよ。こんなの、フロリダでは想像もしないよね」。
「西海岸を過ぎれば『やった! 暖かい気候が待っている!』って感じだけど、今日は違う」と、ケビン・ナも続く。
確かにそうだろう。それどころか、初日の寒さは、年初めに行なわれる「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」のフェニックスや「ヒュマナチャレンジ クリントンファウンデーション」のラ・キンタ、「ノーザントラストオープン」のリビエラでのそれを思い起こさせた。
「今年で一番寒い日の1つじゃないかな」と振り返るのは、2011年の大会覇者で、今大会の初日を「72」で終えたゲーリー・ウッドランド。「今日の服装は(寒さに)十分だったのか、微妙なところだね。セーターを着ていても、寒さと風は容赦なかった」。
この状況を一番うまく切り抜けたのは、米ワシントン州出身のマイケル・パットナムだろう。彼は序盤から3バーディと飛ばしてリーダーボード上位に食い込むのに成功。その後16番でボギーを叩いたものの、「69」でホールアウトしている。
昨年のウェブドットコムツアーの賞金王でもあるパットナムは「シャツとセーターを着て、その上にもう1枚セーターを重ねたんだ」と告白。「(でも途中で)1枚脱いだ。ほとんどの選手もそうしたんじゃないかな。僕らはまだ2枚着込んでいる。暖かくはないよ。気温は10度だし、プレーを阻む風も吹いているしね」。
だがその心配ももう少しで終わりそうだ。2日目の早い時間にプレーする選手は1ケタ台の気温の中プレーすることになりそうだが、天気予報ではそれから急激に暖かくなり、23度ほどになるとしている。
事前準備は「釣り」?
今大会初日のティタイムまで、ロバート・ガリガスがコースに足を運ぶことはなかった。彼の“事前準備”はイニスブルックに隣接する島で行なわれた。そして彼の手にはゴルフクラブではなく、釣竿があった。
「バスが大漁で、本当に楽しかったよ」と、アイダホ州出身のガリガス。
少なくとも第1ラウンドを終えてからでないと、その成果を論じるには不十分だ。ガリガスは初日を2アンダーの「69」で終え、首位から1打差につけている。
ガリガスが池の岸で大会前の“準備”をしたのは、これが初めてではない。彼は2年前の大会前も釣りを楽しみ、最終日は「64」をマークして4人でのプレーオフにもちこんだ。もっとも当時は、ルーク・ドナルドが勝利を手にしたが。
さらにガリガスはフロリダのディズニーワールドを訪れた2010年には「チルドレンズ ミラクル ネットワーク クラシック」で優勝し、同じく2年後の同大会では2位タイをマークした。
「いいプレーができた大会では大抵、釣りも楽しんだね」と、ガリガスは付け加える。「おかしいかもしれないけれど、(釣りの)おかげであらゆることから距離を置くことができるんだ。リラックスして、初日を迎える準備ができるってわけ」。
となると彼に必要なのは、各大会の会場で絶好のフィッシングスポットを確保することなのかもしれない。ガリガスはすでに次週の「アーノルド・パーマーインビテーショナル」での釣り場を2、3見つけたそうだ。それらは会場のベイヒルC&ロッジにあるわけではないが。
「“アーニー”が僕をゴルフコースに呼んでくれないんだ(笑)」と、ガリガス。「(バスが)釣れるスポットがいくつかあるんだよね。誰かが彼に一筆書いてくれれば、僕は釣りに行きたいんだけど」。
突然の転換期
先週の「プエルトリコオープン」に出場したダニー・リーは、昨年秋の「OHLクラシックatマヤコバ」から6試合連続で予選落ちしていた。しかしプエルトリコでは4日間とも60台で回ったことがきっかけとなり、覇者チェソン・ハドリーに続いて2位の好成績を残した。
「全米アマチュア選手権」の元王者は今大会の初日でも「68」をマークして暫定首位に立ち、好調ぶりを維持。(バーディで)4アンダーを記録したのはリーだけで、後半6番でボギーを叩き通算3アンダーでホールアウトした。
「プエルトリコでの結果で、かなり自信がついた」と、リー。「今はショットが絶好調なんだ。ボールを打つ感触もこれまでになく手ごたえを感じている」。
だが彼の一番の違いといえば、グリーン上ではクロウグリップに変えたことだろう。PGAツアーでのパーオン率は17位につけているが、チャンスをモノにしはじめたのは先週からだった。
「グリーンに乗せて、クロウグリップでパターをスイングするだけさ」と、リー。「そうすることで、自分の思う場所に常にボールを転がせるんだ。今は距離感のコントロールもばっちりだね」。
おまけの1年
ウッディ・オースティンは初日、イーブンパーの「71」でホールアウトし、ニヤリと笑みを浮かべながらイニスブルックのスコアリングトレーラーを後にした。
米フロリダ州タンパ出身のオースティンは、「今日のプレーはそれほど良くなかった。波乱含みだった」と振り返る。「しばらくの間は、ピンそばにボールを転がすのに苦労していた。(ピンのあたりを)うろついていただけで、ナイスショットもあまりなかった。なんとか乗り切ったけど。そして上がり3ホールで2バーディを奪ったんだ」。
これは、名物“スネークピット(ヘビの巣)”からの2バーディだ。オースティンは16番で約4メートルのバーディパットを決め、最終18番でもバーディを奪取。後者では167ヤードから5番アイアンを使って1メートル強のところに寄せた。
「本日のベストショットだね。100倍も」と、オースティンは高笑いした。
今年1月に50歳の誕生日を迎えたオースティン。チャンピオンズツアーでは今のところ、「全米シニアオープン選手権」への出場があるだけだ。そのほか、昨年ミシシッピ州で行なわれた「サンダーソンファームズ選手権」でのまさかの優勝がもたらしたものを享受するだろう。
「今年は悠々自適な1年だよ。自分が出たい大会に出て、お気に入りのコースでプレーするだけさ」。
データあれこれ
大混乱の今大会初日をノーボギーで終えたのは、ケビン・ナただ一人。彼は3番であわやイーグル奪取というバーディを獲ると、残りは全てパーとした。カッパーヘッドコースでイーグルを獲るのは、それが誰であろうと不可能に近い。唯一のイーグルは2007年大会の3日目だった。また、強風と寒さにもかかわらず、今大会初日の平均スコア「72.65」はこれまでの初日の記録としては最悪ではない。秋開催だった2003年大会の初日の平均スコアは「73.11」で、昨年大会では「73.07」だった。
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