これぞ名器? PGAツアープロが長年使い続けるクラブ
2021年 アーノルド・パーマー招待byマスターカード
期間:03/04〜03/07 場所:ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)
ウッズが制した「アーノルド・パーマー招待」でのショット5選と使用クラブ
タイガー・ウッズはキャリアを通じて、プロとしてアーノルド・パーマーの庭で最多の8勝を挙げており、それ以前には1991年の「全米ジュニアアマチュア」を制し、ベイヒルでの初優勝を果たしている。
45歳になったウッズは、先の深刻な交通事故によるケガから回復を目指しているが、ここで、ウッズがこれまで「アーノルド・パーマー招待」で見せた最高のショット5選と、その際に使用したクラブを振り返ってみよう。
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1. 2012年(最終ラウンド): 8番グリーンへのショット
2012年大会でウッズは、試合後にこの大会で最も難しいグリーンとピンだったと明かした風の強い日曜日に、2年半に及んだ無勝利期間に終止符を打とうとしていた。
危険な8番ホールを迎えたとき、2打差の首位に立っていた。池に守られた左サイドのピンに対し、ショーン・フォーリーをコーチにしていた当時、カットするショットに頼ることが多かったウッズは、フェアウェイ中央からハイドローを打った。グリーンの前部に柔らかく着弾したボールは、カップから1.5mの位置まで転がった。
大胆なショットは奏功し、3打リードするとそのままPGAツアー72勝目を挙げ、世界ナンバーワンへ返り咲く道を歩み始めた。
使用クラブ: ナイキVRプロブレード8番アイアン、トゥルーテンパー ダイナミックゴールド X100シャフト
2. 2009年(最終ラウンド): 16番ホールでの第3打
ウッズは2009年の最終ラウンドを同組のショーン・オヘアを5打追う状況でスタートした。当時、16番ホールは難度の高いパー4(現在はパー5)であり、ティショットを大きく曲げたウッズはショットで刻まざるを得ず、オヘアがアドバンテージを握ったかに見えた。
しかし、オヘアはピンを守るグリーン手前の池につかまり、イニシアチブをウッズへと手渡してしまった。
ピンまで85ydのトリッキーな第3打を迎えてウェッジを握ったウッズは、アーチ型のグリーンを前にホールから7.5mの位置を狙って構えたため、放送ブースにいたアナウンサーは彼の狙ったラインに疑問を呈した。
ウェッジで放ったウッズのピッチショットは、アーチの頂上に着地すると、スピンバックしてピンそば60cmに寄った。するとアナウンサーは、ウッズの考えに疑問を持った愚かな自分たちのことを笑い飛ばし、「餅は餅屋ということですね!」とコメントしたのだ。
使用クラブ: ナイキ ビクトリー レッド 60度ウェッジ、トゥルーテンパー ダイナミックゴールド S400シャフト
3. 2001年(最終ラウンド): 18番グリーンへのショット
2001年大会(ベイヒルインビテーショナル)は、ウッズとミケルソンが日曜日のベイヒルで息詰るバトルを繰り広げた。レフティは通算15アンダーでホールアウトしたため、ウッズはパーでプレーオフ、バーディで優勝という状況で18番を迎えた。
しかし、メジャー15勝のウッズがティショットを引っかけてラフにつかまったことから、バーディは極めて困難であるように見えた。多くの選手がグリーン左サイドへ逃げて、そこからのパーセーブにかける状況に直面しながらも、ウッズは池と岩を越えてピンを狙う、ジョニー・ミラーが“ヒーロー・ショット”と形容したショットを試みた。
ウッズは5番アイアンを一閃。グリーンのど真ん中をとらえると、バーディパットを沈めてトレードマークであるアッパーのガッツポーズを見せた。ミケルソンはただ、グリーン脇から称賛を送るしかなかった。
使用クラブ: タイトリスト681T(エンドウフォージド)5番アイアン、トゥルーテンパー ダイナミックゴールド X100シャフト
4. 2009年(最終ラウンド): 最終パット
2009年のベイヒルで、ウッズは前年の夏に負った左膝前十字靭帯断裂の再建手術を受けて以来初となる優勝を狙っていた。
16番(パー4)での見事なウェッジショットでパーをセーブするも、17番でボギーをたたいてオヘアと並ぶ首位となった。
ベイヒルに注ぐ陽光が傾く中、ウッズは18番ホールで決めれば優勝となる4.8mのバーディパットを残した。観客の叫び声により、パットを仕切り直さなければならなかったウッズは、もう一度ルーティンを繰り返すと、左から右へ切れるパットをねじ込み、スティーブ・ウィリアムズと派手な祝福を繰り広げた。
手術から9カ月を経て、タイガーが本来の姿を取り戻した瞬間だった。
使用クラブ: スコッティキャメロン ニューポート 2 GSS
5. 2008年(最終ラウンド): 最終パット
ウッズは2008年の「アーノルド・パーマー招待」を、キャリア最高ともいえる状態で迎えた。彼は出場した直近のPGAツアー8大会で7勝を挙げていたのである。その年のベイヒルで、夢のパーフェクトシーズンを継続させるべく、ウッズが世代間のバトルに身を置くなか、またしても決着の瞬間は72ホール目に訪れた。
バート・ブライアントと首位タイで並んで18番ホールをプレーしていたウッズは、下りで左から右へ切れる非常に難しい7.2mのバーディパットを残した。
左へ出たウッズのパットは、ホールへ向かって右へ切れ始めると、完璧なペースでそのまま中央からカップへと吸い込まれた。放送席から「ハロー、ベン・ホーガン!」と名実況が届けられるなか、興奮したウッズは脱ぎ取った帽子を地面へ投げつけ、喜びを爆発させて自身のPGAツアー64勝目を祝福した。
ウッズはその週、72ホール目を迎えるまで、5.4m以上のパットを20回打ってすべて外していた。だが、最も重要な局面で“魔法”を起こしてホールに沈めるのが、真のウッズ流なのである。
使用クラブ: スコッティキャメロン ニューポート 2 GSS
(協力/ GolfWRX、PGATOUR.com)