2022年 ファーマーズインシュランスオープン
期間:01/26〜01/29 場所:トリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)
未発表ピンi525アイアン なぜチャンプのセットアップに最適なのか
キャメロン・チャンプは普通のプロゴルファーではないので、彼のクラブセットアップが平均から大きく外れているのも理にかなっていると言える。
2020-21年シーズンにおいて、彼はドライビングディスタンスで平均317.ydを記録し、PGAツアーで3位にランクインした。しかしながら、彼は他のカテゴリーのランキングは、ほぼ最下位だった。
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200選手中、チャンプのローンチアングル(打ち出し角)のランキングは199位。ツアーにおけるティショットの打ち出し角の平均は10.52度となっているが、チャンプのドライブの打ち出し角の平均は6.85度だった。
これは、特に彼のボール初速を考えると、チャンプがボールをかなり低く打っていることを意味する。彼のショットは弾丸の様に飛ぶのだが、これは風の強いコンディションで抜群の威力を発揮するも、アイアンショットでグリーンを捉えるのには向いていない。
このため、チャンプは自身のセットアップに、他のツアーの選手たちとは異なる独特の調整を施している。今回、GolfWRXはそんなチャンプのバッグの中身について、深く掘り下げてみた。
例えば、最も大きな違いは、チャンプが2本の4番アイアンを使っている点である。昨年までチャンプはピンiブレードアイアン(4番~PW)とピンi500の3番と4番アイアンという組み合わせでプレーしていた。
ピンのiブレードアイアンは、薄いトップラインとコンパクトな形状でブレードアイアン同様の見た目となっており、一般的にはツアープレーヤーや上級者向けとなっているが、同社のキャビティバック設計により、若干の寛容性が加えられている。
一方、2018年にリリースされたi500アイアンは、フェースにメタルウッド同様のテクノロジーを使用し、高弾道と飛距離アップを実現している。
「彼の4番アイアンの弾道は説明がつかないんだ」と、ピンのツアーレップ、ケントン・オーテス氏は2019年のチャンプの弾道、そして彼が2本の4番アイアンを使う理由について説明した。「低く出て、そのまま直進する感じなのだけど、あの弾道だとキャリーは215ydかなと思うと、255ydも飛んでいるんだ。僕には理解することすら不可能だよ」
「キャメロンは3番アイアンの長さで組まれたi500の4番アイアン(21度)を使っている。i500のフェースにはメタルウッドのテクノロジーが使われているので、インパクトでフェースにより多くのたわみが発生するんだ。これにより、より高い弾道、さらなる高初速、そして低スピンが実現する。基本的に、これは彼にとって3番アイアンの役割を果たす4番アイアンなんだ。そして、その下の番手は、iブレードの4番アイアン(21度)となる」
iブレードと比較すると、ピンのi500モデルは形状が大きく、トップラインが厚めで、オフセットが若干大きくなっており、オフセンターヒットの寛容性が高くなっている。
これは、C300マルエージング鋼フェースと17-4ステンレス鋼からなる複合素材の中空ボディ構造がインパクトでのたわみを大きくすることで、フェース全体での高初速と高弾道を実現している。
チャンプは高弾道の理を活かすため、i500のロングアイアンを使用している。彼はグリーンを狙うショットでi500の4番アイアンを使用し、3番アイアンは通常の3番アイアンよりも飛距離が出るため、ティショット用のドライビングアイアンとして使用していた。
しかしながら、チャンプは2022年「ファーマーズインシュランスオープン」に、これまでi500の3番と4番アイアンではなく、新しいピンi525アイアンを持って姿を現した。
ピンは2018年以降、i500アイアンを現行モデルとしてきたが、チャンプが新しいi525アイアンを明るみに出した以上、この現状は近い将来変わることだろう。
しかし、現時点では、まだこれはプロトタイプとなっている。ピンはまだこの新製品についてコメントしていないが、GolfWRXは「ファーマーズインシュランスオープン」を前に、チャンプにi525の第一印象について聞いてみた。
「これは良いね。前のアイアンと似ているけど、こっちの方がよりクッキリとした見た目で、僕はそれが気に入っているんだ」とチャンプは述べた。
「打音も良くなったね。ネガティブな事は、何一つないよ。僕にとって、これは(i500と)ほとんど同じなんだ。だからバッグに入れたわけでね。望み通りの仕事をしてくれれば、僕が気にすることは少なくてすむから」
「それにしても、これは良いよ。打音は大きな要素だね。フェースは若干前より柔らかい感じになったのだけど、僕はそれが気に入っている。より簡単に感じることができるから。ただ、僕にとって重要なのは弾道で、これは打ち出される感じが完璧なんだ」
チャンプのレビューによると、未発表のピンi525アイアンは、4年前にリリースされたi500モデルに比べて、見た目、打音、そして打感が向上しているようだ。また、チャンプはこの2本の新アイアンの驚くべき飛距離についても明かしてくれた。
「4番は僕の3番アイアンの飛距離で、3番は実際的に僕のドライビングアイアンである2番か1番アイアンの飛距離に匹敵するんだ」とチャンプ。
「芝の上か、ティアップするかによるけれど、4番アイアンは250~260ydのショットなんだ。そして2番は、ドライビングアイアンなので、ストロングロフトにした。もちろん(トーリーパインズでは)そこまで飛ばないけれど、それでもキャリーで265~275ydまで行って、そこからランが出ているね」
「3番ウッドはほとんど使わないね。今週バッグには入れていて、1ホールで使うことはあるかもしれないけれど、実際のところ、3番ウッドは使わないよ。単にこっち(i525ドライビングアイアン)を使うんだ」
一般的なアマチュアプレーヤーは、アイアンでそんな飛距離を出すことなど、夢見る以外にないわけだが、チャンプのクラブ選択は注目すべきだろう。
誰であれ、高弾道のショットを打てれば有利になるのだから、チャンプの使用する寛容性と弾道の高いロングアイアンの恩恵に授かれるプレーヤーは多いはずだ。新しいi525アイアンの詳細についは、今後のピンによる正式発表を待ちたい。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)