2023年 ZOZOチャンピオンシップ
期間:10/19〜10/22 場所:アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)
コリン・モリカワ 優勝前に行った2つのギア変更
2023年の「ZOZO選手権」でのコース攻略や立ち振る舞いを見ると、コリン・モリカワが2021年の「全英オープン」以降、PGAツアーでの優勝から遠ざかっていたのが嘘のように思える。
PGAツアーではもっと長い期間にわたって勝利がない選手は複数存在するが、モリカワは25歳の誕生日を迎える前にメジャー2勝を含むPGAツアー5勝を挙げてきた。それだけに、2年間のアイドリング期間は、少なくとも驚きに値するのである。
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モリカワほどのゴルファーとなれば、ゲームから弱点を見つけ出すのは難しい。2022-23シーズンにおいて、モリカワはスコアの貢献度を表すストロークゲインドはトータル10位、「オフ・ザ・ティ(ティショット)」で19位、そして「アプローチ・ザ・グリーン(グリーンを狙うショット)」で2位にランクインしている。洗練されたフェードを打つモリカワは、ほとんどショットでミスをしないのである。
ただ、ひとたびグリーンに乗ると、モリカワのパッティングは心配の種となり始める。2020-21シーズンのスタッツを振り返ると、モリカワのパッティングはフィールドで178位。(彼は同シーズンのストロークゲインド・アプローチ・ザ・グリーンでは1位に君臨した)。
パッティングの問題に対処し、グリーン上での安定感を高めるべく、モリカワは2023年初頭に、PGAツアーや世界中に多くの教え子を持つ高名なパッティングインストラクターであるスティーブン・スウィーニーの門を叩いた。当時、モリカワはテーラーメイドのTPソトパターを使用していた。このヘッドには、最近「シュライナーズチルドレンズオープン」を制したトム・キム(韓国)を始めとする多くのPGAツアー選手の間で人気の135gのLAゴルフ複合素材シャフトがささっていた。
スウィーニーとの取り組みを始めた当初、モリカワはパターもシャフトも変更しなかった。彼は2023年の大半を通して実戦用パターを使い続けた。しかし、今夏を前に、モリカワとスウィーニーは軽量のTPソトブレードパターのヘッドと、重いグラファイトシャフトの差異がモリカワのフィーリングに影響を及ぼしている可能性に気付いたという。ただし、モリカワはストロークの一貫性を高めるのに一役買ったシャフトの硬さを変えることは望まなかった。そこでモリカワとスウィーニーは、特別に硬めのパターシャフトでありながら、TPソトブレードパターのヘッドにマッチする超軽量構造を必要とするようになった。
モリカワが試した製品には、三菱ケミカル ディアマナP-135シャフトも含まれていた。これは同社のフラッグシップモデルと同じ織り方と素材を用いた製品であり、トルクを軽減することでストローク中の安定性を向上させるように設計されたシャフトだった。彼はこれを気に入ったが、それでもまだ重かった。
この時、三菱ケミカルは再設計モデルの製作に取り組み、モリカワ用に一点物のプロトタイプを組み上げた。同社によると、デザイナーたちは重いモデルと同等の硬さを維持しつつ、シャフトの重量を105グラム減らすことに成功した。モリカワはこれにより、答えを見つけ出した。
モリカワは「ライダーカップ」前に、南カリフォルニアにあるテーラーメイドの“ザ・キングダム”と呼ばれる施設で、三菱ケミカルのプロトタイプシャフトのテストを実施し、同大会で新シャフトを実戦投入した。そして、PGAツアーでは三菱ケミカル ディアマナ105g プロトタイプシャフトを使用した最初のストロークプレーの大会となった「ZOZO選手権」で、モリカワは優勝を遂げたのである。
ほかにも彼は2023年フェデックスカップ プレーオフの最中に、いくつかのドラスティックなギア変更を行ってきた。
「BMW選手権」を前にゴルフボールのモデルと、ロングアイアンのシャフトを変更。テーラーメイドのツアーレップによると、「メンフィスでの『フェデックス セントジュード選手権』の翌日の午後遅い時間に、コリンはドライバーとウッド類のスピン量が多く、ロングアイアンは十分な高さが出ていないと感じていました。テストの一環として、テーラーメイドのツアーチームでより低スピンで、高弾道かつ、特に横風に対する安定性に優れたTP5xボールの使用と、このボールの使用に合わせて、より軽量なシャフト(トゥルーテンパー ダイナミックゴールド“ミッド”ツアーイッシュー)への変更を提案しました」。2023「ZOZO選手権」後の月曜にGolfWRX.comに対して述べた。
「この変更により、ウッド類で彼の望むスピン量を生み出しつつ、同時に彼の好む低いカットショットが打てるように。ロングアイアンでは風に対するショットで望みの打ち出し角を達成することができるようになりました。低スピンのボールだったことから、我々は彼のミドルアイアンからショートアイアンにかけてロフトを少し寝かせたのですが、これで彼は全てをコントロールすることができるようになりました。結果は予想通り。プレーオフの大会翌日に行われたものとしては、かなり厳格な試打セッションであり、その後、プレーオフ期間中に新しいゴルフボールへ変更することになったのです」。試打を繰り返しながら再び勝者の輪へ返り咲いたのである。
これで26歳のモリカワは、6度のPGAツアー勝者(メジャー2勝を含む)となった。そして今、彼は完全に調子の合ったギアのセットアップを手にしているのである。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)