久常涼はプレジデンツカップの寵児になれるか? パワーランキング
勝てないのであれば、相手の作戦帳を盗み出せ。書き換えて突き返せば、なお良し。
刺激的な筋書きではあるが、仮にその通りに事が運んだとしても、それは歴史の書き換えに他ならない。なぜなら、今週開催される隔年の「プレジデンツカップ」において、目下10連勝中の米国選抜は過去に一度しか敗れていないからだ。
今年はシカゴ郊外にあるメダイナCCのコースNo.3が舞台となる。プロゴルファーたちが最後にプレーした2019年の「BMW選手権」当時とは、コースのレイアウトが大きく変わっている。その間に行われた大規模な改修工事を主導した一人は、今回の世界選抜の主将であるジェフ・オギルビーだった。
改修はオーストラリア出身の彼が主将に任命される前のことだったが、過去の戦績を1勝13敗1分けとしている世界選抜を率いるリーダーが、コースの戦略的な利点(そして、そこに潜む落とし穴)を誰よりも深く理解していることは、間違いなくプラスに働くはずだ。
以下は、各チームのパワーランキングと、コースNo.3の最新の姿、「プレジデンツカップ」の競技形式、そして天候の影響などに関する詳細である。
【パワーランキング】
<米国選抜>
12 ジャクソン・コイヴン 初出場。待ち受ける試練や形式がどのようなものであれ、今後、さらなる成功を予感させる21歳の選手は、彼をおいてほかにいない。
11 ジャスティン・トーマス 出場3大会で計11ポイントは、米国チームで最多。2022年以来となる今回は主将推薦で選出された。10カ月前の顕微鏡視下椎間板ヘルニア摘出術からの早い復帰を果たした献身的な姿勢が評価されたと言える。
10 パトリック・カントレー 同じく主将推薦のザンダー・シャウフェレとともに過去3大会の全3セッションにおいて全く同じ戦績(10勝4敗0分け)を残しており、チーム戦において一つのユニットとして機能。カントレーはシーズン終盤の猛チャージでこの座をつかんだ。
9 サム・バーンズ 彼が個人として収めてきた成功は、まだチーム戦には反映されていないものの、今後の見通しは楽観視できる。必要なのは、然るべききっかけのみ。主将のブラント・スネデカーにとっては、うれしい“悩み”と言えるだろう。
8 ジェイコブ・ブリッジマン 初出場。最終ラウンドに10アンダーの「61」をマークし、2打差で制した「ビルトモア選手権アッシュビル」での優勝は、スキルを磨く上でこれ以上ない場となった。PGAツアー最高のパターの名手であり、フォアボールにもすんなりフィットするはずだ。
7 クリストファー・ゴッターアップ 初出場。このチームの選手層はどれだけ厚いのか?彼は2026年に3勝を挙げ、2度のトップ4入りでプレーオフを締めくくり、世界ランキングでも7位につけていながら、それでもなお主将推薦を必要としたのである。友人であるジェイコブ・ブリッジマンとのコンビに注目。
6 キャメロン・ヤング 好不調の波が激しい傾向があるため、自動選出された選手の中では、最も出場時間が変動するかもしれない。2022年「プレジデンツカップ」や2025年「ライダーカップ」での成績がまちまちだった結果、彼の立場はペアを組む選手たちにとって遊軍となる。
5 ラッセル・ヘンリー ほかの選手と比べて唯一の弱点はティショットの平均飛距離だが、メダイナは以前ほど飛距離の恩恵を受けるコースではなくなった。フェアウェイキープ率ではPGAツアートップ、スクランブル率では2位にランクイン。誰と組んでも相性の良い稀有な才能の持ち主。
4 ウィンダム・クラーク 今大会で最もホットな一人である彼は、「BMW選手権」で2026年の3勝目を挙げ、土壇場で選出を果たした。2025年の「ライダーカップ」ではパトリック・キャントレーと組み、ロリー・マキロイとマシュー・フィッツパトリックのペアを相手にフォアボールで勝利。
3 コリン・モリカワ チーム戦の常連ながら、背中の不調や第一子の誕生といった状況の変化を考えれば、今回の自動選出は例年以上にうれしかったはず。ただし、実績とは裏腹に、安定感は不足気味。
2 ザンダー・シャウフェレ 2019年以降の「プレジデンツカップ」における戦績は、フォアサムで4勝1敗0分け(全てパトリック・キャントレーとのペア)、シングルスで3勝0敗0分け。打破されてない以上、自ら崩す必要はないため、長年の盟友同士によるお馴染みのタッグが見られるだろう。
1 スコッティ・シェフラー 「プレジデンツカップ」2大会と「ライダーカップ」3大会の通算成績は6勝11敗4分けと、世界トップランクの才能にとって、チーム戦という形式が足枷となってきた。ベテラン選手とのペアリングが最も理にかなっているが、彼の存在そのものに価値がある。
<世界選抜>
12 ニコ・エチャバリア(コロンビア) 初出場。南米勢では唯一の選出。キャリアを通じて着実に実績を積み重ねてきた。PGAツアー3勝で、今回は爆発的なポテンシャルを秘めたダークホース的存在となる。
11 コーリー・コナーズ(カナダ) 同郷のカナダ人選手とペアを組んだチーム戦は通算1勝6敗という成績ながら、今度は同じくカナダ出身で初出場のニック・テイラーを支える立場に。それでも、ショット力の高さはチーム全体にとって大きなプラスに。
10 ニック・テイラー(カナダ) 初出場。今振り返れば、2023年の「RBCカナディアンオープン」覇者(そして永遠のレジェンド)が24年の選抜チーム入りを逃したというのは信じがたいことだが、重要なのは、今回は貢献できるということ。コーリー・コナーズとのペアリングが予想される。
9 ミンウ・リー(豪州) 2024年のデビュー戦ではチーム最少の2セッション(0勝1敗1分け)の出場にとどまったが、今回はより多くの出場機会が得られる見込み。自身のプレーに波はあるものの、大舞台では常にあなどれない脅威として十分な活躍を見せている。
8 久常涼(日本) 初出場。「プレジデンツカップ」の寵児をお探しか?それなら、大舞台で一気にブレークする可能性を秘めた、この24歳の日本人選手はどうだろう。卓越したショット力の持ち主で、フォアボールでは即戦力としての活躍が期待される。
7 クリスティアン・ベゾイデンハウト(南ア) 南アフリカ勢唯一の出場となる彼は、過去2回の出場で、シングルスでの2勝無敗を含む通算3勝1敗1分けの成績を誇る。その実績だけで重要度は増すが、両チームで屈指のパッティングの名手でもある。ティからグリーンにかけての精度も高い。
6 ライアン・フォックス(ニュージーランド) 初出場。今回自動選出でデビューを飾るのは彼のみ。経験不足ながら39歳にして天性のリーダーの資質を備えている。「全英オープン」制覇で一躍ブレーク。アダム・スコットとのペアリングにメリットあり。
5 イム・ソンジェ(韓国) 今年序盤の右手首のけがによる戦線離脱で、主将推薦での選出となったが、それでも彼が米国選抜にとって難敵であることに変わりはない。2024年大会も同様の立場で出場し、戦績は1勝4敗0分けだった。目下、絶好調。
4 松山英樹(日本) 日本出身の34歳にとって、今大会は7大会連続の出場に。2024年のシングルスではスコッティ・シェフラーを撃破しており、19年の土曜のフォアサム以来、全セッション皆勤。この夏は7週連続の遠征で大きく調子を上げている。
3 トム・キム(韓国) 「プレジデンツカップ」3大会連続出場を果たしたこの韓国人選手は、過去2回の出場を果たした当時のような調子をここ3カ月で取り戻すまでは、選出が見込まれていなかった。強敵との真っ向勝負を受けて立つ気満々であり、その実力も備えている。
2 アダム・スコット(豪州) 「プレジデンツカップ」はこれで12大会連続出場に。46歳の彼は、世界選抜歴代最多の通算23ポイントを獲得しながら、チームとしての勝利はまだ一度も経験していない。「全英オープン」以降、ワールドワイドで9位タイ、12位タイ、16位タイ、11位タイ、2位タイと好調を維持。
1 キム・シウー(韓国) 「BMW選手権」後、フェデックスカップで5位に浮上と、勝者総取りの「ツアー選手権」を前に、優勝のない選手では最上位に。ティからグリーンにかけたプレーとスコアメークにたけており、チームの主力としてフル回転が期待される一方、実際に結果を残すことも求められる。
大改修されたコース
飛行機の窓側の席から、眼下に臨むゴルフコースを特定するのが好きなのであれば、西からオヘア国際空港へ降下する際、機体の右手に現れるメダイナCCを見逃す手はないだろう。空港からわずか6マイル(約9.6キロ)の距離にあり、6本の平行滑走路へ向かう着陸ルートの直下に位置するこのコースは、最終目的地を目指すパイロットにとって、さながらフォアキャディのような存在である。上空を通過するジェット機は、コースのすぐ上、高度約2000フィート(約600メートル)を飛行する。
しかし今日では、上空からメダイナNo.3のレイアウトを、かつては目印となっていた威厳あるビザンチン様式のクラブハウスや、ゴルファーの最終目的地であるパー4の18番ホール(もっとも、今週はその限りではないが、その点については後述する)を目指す際の標的となる高さ150フィート(約46メートル)の旗竿といった特徴的な要素なしで、一目で認識するには、ゴルフコース設計に造詣が深いファンである必要があるかもしれない。
2019年の「BMW選手権」や2006年の「全米プロゴルフ選手権」、あるいは2012年の「ライダーカップ」で記憶に残っている光景と比べても、かつて認識できた特徴の多くは、もはやそこにはないのである。それこそが、このコースの進化のテーマとなってきた。つまり、舞台そのものは変わらなくても、開場から100年にわたり開催されてきた数々の主要大会ごとに、その設定は変化し続けてきたのである。
カディジャ湖は見慣れた姿をとどめているものの、もはやこの湖を頼りに、かつてここを横切っていたパー3の3ホールを特定することはできない。同じ位置に残っているのは2番ホールのみである。13番ホールは現在、湖の南岸に沿ったレイアウトになっている。一方、かつて真北のメダイナ通りへ向けて打ち下ろしていた17番ホールは、今では反対側から東南東へ向かってカディジャ湖を横切るルートへと変更された。
コース内で最大のハザードに隣接しているため、上空から見るとその変化が最も際立って見えるかもしれないが、これらはオギルビーの設計事務所であるOCMが手掛けた数多くの重要な改修の一部に過ぎない。これらに加え、2012年の「ライダーカップ」でワンオン可能なホールとして初登場したパー4の旧15番ホールは、その姿を消した。現在は、かつてパー4の16番ホール(1999年「全米プロゴルフ選手権」でのセルヒオ・ガルシアによるシザースキックと言えばピンと来るかもしれない)があった場所に、514ヤードのパー4として新設されている。
新しいパー4の16番ホールのティは、パー3の旧17番ホールのティがあった場所の近くに設けられているが、この402ヤードのホールは北東方向へ斜めに伸び、カディジャ湖を横切るレイアウトになっている。総じて言うと、OCMの既成概念にとらわれない構想を躊躇(ちゅうちょ)なく承認したメンバーたちにとって、このNo.3のインコースは、最新の遊び場となっているのである。
全18ホールを対象としたこの大規模な改修プロジェクトには、膨大な数の樹木の伐採、約4ダース(48個前後)のバンカーの新設、そして平均約8600平方フィートへのグリーン面の大幅な拡張が含まれていた。ベント芝のグリーンは、スティンプメーターの数値で13フィートに迫る速さに仕上げられている。こうした一連の改修は、設計者トム・ベンデローの当初の構想をよみがえらせると同時に、特にマッチプレーで重視されるプレーの選択肢という哲学を広げることにもつながっている。
プレー方式は?
出場選手たちは単に次のホールを回れば良いということになるが、このNo.3について知識のあるファンには、ホールの順番を頭の中で切り替える必要が出てくる。各セッションは、パー4の5番ホールからスタートする。その後、今回の「プレジデンツカップ」においては14番ホールとなる18番ホールまで、順番にプレーは進行する。
つまり、通常の1番から4番ホールは、それぞれ15番、16番、17番、18番ホールとしてプレーされることになる。この順序の入れ替えにより、(全てのマッチが最終ホールまでもつれるわけではないため)新たな終盤のホールでのドラマや難所が勝負の行方を左右する可能性が高まるわけだ。なお、どのセッションにもプレーオフは設けられておらず、18ホールを終えてオールスクエアの場合は引き分けとなり、両チームに0.5ポイントずつが与えられる。
争われる計30ポイントは、4日間にわたって配分されている。木曜日の開幕セッションは、フォアボール(ベストボール)形式の5マッチで構成される。金曜日にはフォアサム(オルタネートショット)形式で、更に5マッチが行われる予定となっている。土曜日はフォアボールとフォアサムがそれぞれ4マッチずつ、この順序で行われる。全24選手は必ずしも最初の4つのセッション全てへ出場できるわけではないが、日曜日のシングルスでは全員が出場し、計12マッチで大会は幕を閉じることになる。
最初の4セッションにおけるペアリングの構成や、どの対戦相手にどのペアをぶつけるかといった点について、深読みしすぎるのも無理からぬことだが、データ分析の専門家たちは、個人の性格や言語の壁を超えた優位性を見つけ出すことだろう。世界選抜は7カ国から選手が選出されており、データは最適な組み合わせを判断する上での助けとなるはずだ。同チームの内訳は韓国から3人、オーストラリア、カナダ、日本から2人ずつ、コロンビア、南アフリカ、ニュージーランドから各1人となっている。
シカゴの夏は素晴らしいことで有名だが、地元の人々は間髪を入れずに、秋の方がもっと良いと主張するかもしれない。「プレジデンツカップ」の開催が本格的な秋の幕開けを告げることこそ、その好例と言える。期間中、日中の気温は華氏70度(約21℃)を超えることはなく、空には日差しと時折流れる雲が広がる見込みとなっている。通常とは逆の東からの微風が、ミシガン湖から涼しい空気を運ぶことになる。雨の予報はないが、もし米国選抜が優位性を継続させれば、その治世は少なくともあと2年間、オーストラリアのキングストンヒースGCが開催地としてデビューする次回大会まで続くことになる。
(協力/PGATOUR.com)