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後世に残したいゴルフ記録

話題をさらった高額ホールインワン賞/残したいゴルフ記録

国内男子ゴルフのツアー制度が始まった1973年より前の記録は、公式にほとんど残されていません。73年以降も、ツアー史に埋もれている輝かしい記録は少なくありません。本連載では、ゴルフジャーナリストの武藤一彦氏が取材メモや文献により男子ツアーの前史をたどり、後世に残したい記録として紹介します。

ゴルフ界をにぎわせた中嶋常幸の600万円ショット

国内女子ツアー「リゾートトラストレディス」最終日に、阿部未悠(あべ・みゆう)が12番(パー3)のホールインワンにより賞金800万円を手にした。男子ツアーでも、2017年「フジサンケイクラシック」初日に、薗田峻輔が16番(パー3)のエースで800万円をゲット。近年は“ひと振り”でのビッグボーナスはそれほど珍しいことではなくなったが、高額に設定され始めた当時は、それだけで大きく騒がれたものだった。

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ホールインワン一発で600万円。1990年5月、静岡・川奈ホテルゴルフコース 富士コースで開催された「フジサンケイクラシック」。85年より17番の名物パー3にかけられた賞金100万円は、未達成分が翌年に上積みされ続け、6年後にはホールインワン賞として当時のツアー最高額となる600万円まで膨れ上がっていた。

その第1ラウンドだった。ティイングエリアに立つのは中嶋常幸。打ち上げとなる185yd先のピンを狙った6Iショットは、左前方からの強風にぶつける果敢な一打。ボールはピン手前5mにキャリーし、そのままカップに消えた。

「ティからは7mの打ち上げ。左前方からは強い風、右に外せば10mを打ち上げるアプローチが残る難しい状況。強いプレッシャーがあっただけにうれしかった。ナイスショット」と自賛した中嶋は、「やった、入った!」とギャラリーと一緒に躍り上がって喜んだ。

当時の「フジサンケイクラシック」は賞金総額7000万円、優勝賞金1260万円の時代。たった一発のショットで優勝賞金の半分を稼いだとしてゴルフ界はにぎわい、中嶋は史上まれにみるラッキーな男と褒めそやされた。

青木功は「土地付き住宅」ゲットも…

さらにホールインワン絡みでは、こんな話題も見逃せないだろう。1978年10月に、青木功が欧州ツアー初優勝を飾った「世界マッチプレー選手権」(英・ウェントワースクラブ)での出来事である。青木は、前年「全米プロ」優勝者のデビッド・グラハム(豪州)を下す大金星をあげた準々決勝の2番(パー3)でエースを達成。5万5000ポンド(当時のレートで約2750万円)相当の土地付き分譲住宅を手にして話題となった。

しかし、この副賞は青木自身が居住することが条件となっており、青木には英国に住む気はなく、やむなく住宅を放棄。“幻のホールインワン賞”となったことは青木にとっては気の毒だったが、世界マッチプレーのタイトルは獲れたのだから、まあいいか…という話。あまり知られてはいないかもしれないが、世界には驚くようなホールインワンの副賞が設けられていた一例である。(武藤一彦)

武藤一彦(むとう・かずひこ)
1939年、東京都生まれ。ゴルフジャーナリスト。64年に報知新聞社に入社。日本ゴルフ協会広報委員会参与、日本プロゴルフ協会理事を経て、現在は日本エイジシュート・チャレンジ協会理事、夏泊ゴルフリンクス理事長を務める。ゴルフ評論家として活躍中。近著に「驚異のエージシューター田中菊雄の世界」(報知新聞社刊)など。

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