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【WORLD】United They Stand(4) 戦場からゴルフコースへ 米国退役兵とボランティア
1991年、マッケンティはフォートルイスを陸軍大尉という階級で引退。「ここでゴルフを始めてから、この環境の虜になったんだ」と言う。そして「ここは人と人が触れ合い、関係性を育むことが出来る場所。共に笑って、共に泣くこともある。毎年のように、何人か仲間が亡くなっていく。我々は非常によくやっていると思うけれど、まだ大金を持った存在は現れないね。100万ドルをポーンとくれるような気前の良い金持ちはね」と続けた。
メンテナンスに使われる道具は、他のコースで使っていたものを譲ってもらい、軍隊で培ったノウハウで修理をしながら使用を続けている。引退した元海軍上級上等兵曹は、トラクターのエンジンを3度も修復、そしてトランスミッションも1度だけ修繕した。寄付されたクラブもリペアされ、クラブセットを持っていない人に貸し出し、新しいセットを手に入れてから返すというシステムを採用。今年だけで、既に85セットをレンタルしているという。
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アメリカンレイクのアクティビティディレクターであるグーチは、愛車キャディラックSTSに乗り込み、ムーディーブルースのCDをカーステレオで聴きながら、新たにゴルフに関心を示す退役兵士を探すため、アメリカンレイクとフォートルイスを行き来している。「最初に来た時は、VAに登録するだけのつもりだったけれど、実際に来てみたら、この雰囲気が気に入ってね。ここは最高の居場所だと思うよ」。グーチによれば、毎週月曜日になると、VAホスピタルからバスで何人もの退役組(第二次世界大戦経験者)がアメリカンレイクにやってきては、ゴルフを楽しんでいるという。「彼等はパー3のコースを2、3ホール回る。数本のクラブだけを使ってね。皆プレーが終わると疲れきった表情を見せるけれど、仲間同士でプレーについて、あーだこーだと意見を言い合っている」。こうした社会性をゴルフは育んでくれるが、他競技では稀なこと。すなわち、これこそアメリカンレイクで見られる人と人との繋がりだ。
「13歳の頃からゴルフをやってきた」と語るのは、元陸軍法務総監の弁護士を23年勤め上げたノーラン・ゴーデューで、「私が初めて就いた仕事は、シカゴにあるストーキーカントリーコースというクラブでのキャディーでした。今思えば、キャディーとしての経験が、自分の意見を明確に主張すること、しっかりとした準備を怠らないこと、そして自分自身に正直になることを教えてくれた気がしています。私の人生において最も素晴らしい経験になったことは、ゴルフのやり方を学んだことでした」と続けた。
2009年に全米オープンがベスページ(ニューヨーク)で開催された当時、ゴーデューは陸軍兵士学校で指導にあたり、フォートハミルトンにある基地の指揮官というポストにも就いていた。当時、呼吸が苦しくなることがあり、ある日はウェットコンディションのコースを歩いただけで極度の疲労状態に陥った。診断の結果、肺ガンであることが判明し、肺の一部を切除。その後、膵臓ガンも発症。「もう2度とゴルフは出来ない」と半ば諦めかけたというが、アメリカンレイクでプレーする退役兵士達からの熱い励ましのおかげで、再び大好きなゴルフをプレー出来るまでに回復。「この連中が私を急かすものだから」とアメリカンレイクでのプレー前に笑顔をみせる。また、「ゴルフは良い思い出をたくさんくれる。仲間との楽しい思い出を思い出させてくれる。人に生きる喜びを与えてくれるスポーツなんですよ」と形容した。
退役した兵士や、戦争で人生が変わるほどの重傷を心身に負った兵士達にとって、これ以上の施設は無いかもしれない。「素晴らしいストーリーが溢れる最高の施設。あとは支援してくれる存在がいれば」と、セカンドナインの建設を諦めていないマッケンティは語った。多くの戦場を潜り抜けてきた退役組にとって、アメリカンレイクはなくてはならない場所。多くの人間が、既にそう感じ取ってくれているはずだ。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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