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【WORLD】クラブ紛失はプロにとって死活問題
Golf World(2012年5月28日号) texted by E.Michael Johnson
近年の中で最も注目されたクラブ紛失は、モーガン・プレッセルが2007年にメジャーの「クラフトナビスコ選手権」を優勝した翌日、フォートローダーデールに到着した際にクラブがなくなった事件だろう。プレッセルは、「祖父はパームスプリングスで誰かに盗まれたと思っていたみたい。私はフォートローダーデールに到着した後に盗まれたと思ったわ」と、当時を回想。幸運にも48時間後、キャロウェイがプレッセルのクラブを全て用意してくれることに。もちろん、彼女のスペックに合ったロジャー・クリーブランドの3本のウェッジもだ。その時クリーブランドはマスターズが開催されるオーガスタに滞在しており、キャロウェイのトレーラーで制作してくれたという。
複数のPGAツアーレップによれば、シーズンを通してクラブ紛失は、6回以上起こっているのだとか。アメリカ国内の場合、仮に選手がクラブを紛失したとしても、ツアーバンでバックアップクラブを制作することは可能。もしくは同じセットを1日で届けることも出来る。タイトリストのツアーレップであるリック・ネルソンは、選手達にバックアップのクラブを箱に詰め、送り先を貼っておくことを強く薦めている。そうしておけば、必要な時に即郵送出来るからだ。またタイトリストのボブ・ボーケイは、自身が作るウェッジのデジタルカタログを持ち歩いており、選手達に言われれば即作れるよう準備しているという。
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しかしながら、どれだけ周到な準備をメーカー側が整えていようと、完璧なバックアップクラブを用意することは難しい。メーカーは選手個人のデータベースを管理しているものの、選手にしてみれば、例えば、グリップは擦れている方が良い、或いはクラブにテープを張るなどフィーリングの問題もあるため、個人的な感触まで完璧に再現するのは、極めて不可能に近い。
アレン・ドイルを例に挙げれば、彼が1990年から使用しているスコッティ・キャメロンのパターが無ければ大変なことになるのだ。「いつだったか、他の選手達が皆それぞれのクラブをバスで送ろうとしていたんだが、私は自分でバッグを運びたかった。それで、周りの選手に『バッグをどかせ。そうでなければ俺がお前のバッグを引っ張り出すぞ!』と言ったことがあった。みんなは不愉快だったようだが、私は一向に気にしなかった。もし自分のクラブを失くしてしまったら、年間25万ドル(約1970万円)は稼ぎが減るからね」。
こうした選手達の怒り、不安も、ここ10年近くは、Hulka’s Overland Players Expressというクラブの輸送サービスによって大分軽減された。この商売を考えたのは、ブライアン・デービスのキャディを務めるスティーブ・ハルカと彼の妻メアリー。ハルカは2003年に同サービスを開始した。選手達はクラブや自分の荷物を次の大会開催コースに輸送したい場合、専用の箱を購入し、その中に送りたい物を詰め込むだけ。それをハルカがトレーラーに積み込み、自ら運転して目的地に運ぶというシステムだ(過去には、ある選手が自分のバイクも積み込んだこともあった)。預けた荷物にはGPSトラッキングシステムも付けられているので、選手達は自分の荷物の場所を常に特定できる。ほぼ毎週、ハルカは常時50人近くの顧客を抱えているという。
次の週に彼を訪ねたら、もしかするとスネデカーのクラブを預かっているかもしれない。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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