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【WORLD】米国と欧州ツアーの掛け持ちは背信行為?

GolfWorld(2013年1月28日号)texted by John Huggan

欧州ツアーのビッグネーム達が、こぞって米国PGAツアーの大会に出場していることが議論になっている。だがこれは今に始まったことではない。

いわゆる“掛け持ち出場”は1960年代後半、メジャー2勝のトニー・ジャクリンから始まり、1970年代以降に増加した。“ビッグ5”と呼ばれたセベ・バレステロスニック・ファルドサンディ・ライルベルンハルト・ランガーイアン・ウーズナムもこの流れに乗った。そして今日では、ややヒステリックに近い程に選手が殺到。その様は、まるで巨大な波が大西洋を渡って北アメリカ大陸に到達したかのようだ。

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欧州ツアーのエグゼクティブディレクターを務めるジョージ・オグラディも、リー・ウェストウッドピーター・ハンソン、ニコラス・コルサート、マーティン・カイマーらが、ロリー・マキロイルーク・ドナルドジャスティン・ローズイアン・ポールターセルヒオ・ガルシアグレーム・マクドウェルらの後を追い、今ではアメリカ開催の大会に年間最低でも15大会は出場している傾向を不安視する。とはいえ、パニックを起こす必要は無いと語る。

オグラディは、「最大のポイントは、彼らが(米国)PGAツアー出場権を保持しているのと同時に、欧州ツアー出場権も保持していることです。我々はアメリカの大会に出場している選手達へも誠実な対応をしていますし、その点に変化はありません。世界ランキング1位のロリーが、この問題の例と言えるでしょうね。彼は今年アイリッシュオープンとBMW PGA選手権に出場しますが、大会側が彼に金銭(アピアランスフィー)を支払って出場してもらうのではありませんから」と話す。

「しかも、我々の方が外に目を向けていると言えます。現在進行している中東での大会がその例ですし、各国におけるオープン選手権シリーズも同様です。更に今年からシーズン終盤となる年の瀬には、ドバイでのワールドツアー選手権を最終戦とする4大会からなるファイナルシリーズも開催しますから」。

結果として、優秀な選手の流出が落日を迎えることにはならないだろうが、重要なのは、マキロイやポールターのようなカリスマ性のある選手が数大会であっても出場するということ。彼らのようなスター選手からはやや見劣りするハンソン、コルサートらが欠場したところで、観客動員という観点から見れば、さほど問題とはならない。

つまり、徐々に知名度も低くなっている欧州ツアーの大半の大会出場を見送るリーディングプレーヤー達を非難するのは難しい。論理的に考えても、中東からアジアを大移動するツアーよりも、PGAツアーの大会に出場する方が楽だという利点もある。それに、欧州の選手達にとっては、アメリカで開催されるメジャー3大会とWGC選手権3大会は、欧州ツアーの最低出場義務試合数に含まれるのだ。

「私がPGAツアーに参戦し始めたのは2000年。理由はトッププレーヤーになりたかったから」と話すのは、44歳のポール・ローリー。現在、PGAツアーメンバー外選手としては最高位となる世界ランキング29位にランクインしている。「その点は何も変わっていない。ただ、多くの選手がアメリカに移住していることは問題だと思う。皆、アメリカを拠点に両ツアーに出場する方が楽だと気付いたからね。実際問題、アメリカにいたら気付かないし、もし自分が今30代で、世界ランキングトップ10以内にいたら、同じことをしていたと思う」。

当然ながら、欧州ツアーがPGAに勝てないという議論となるだろう。特に欧州の不況が続く限りは。今年のツアースケジュールをみると、マスターズの翌週に開催されるレアルセグロスオープン・デ・エスパーニャまでは、東半球で開催される大会はゼロ。そして45大会の半分以上が欧州以外の地域で開催される。

より大金を稼ぐチャンスのあるアメリカに行くのは、“プロゴルファー”である選手達にとっては避けられない現実。彼らは生活の為に賞金を稼ぐ。そして、高額な賞金がかかる大会にこそベスト選手は出場する。この事実だけは、絶対に変わらない。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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