ミッシェル・ウィは4年半の間、学業とゴルフの両立にいそしんだ。（Thomas Broening／GW)

ウィは「ナノテクノロジー」の工学の授業で苦労したり、「バーチャル・リアリティ」の授業を楽しんだりと、成長を続けた。5年間のうち4年は、キャンパス内にある学生寮に住み、より自立した生活を知った。娘を溺愛する両親を頼り、30代や40代になっても高校生のように甘えた振る舞いをするかもしれないという恐れを抱かなくなった。

彼女自身が言うように、両親との新しい関係性こそが、スタンフォード大学での生活を通じてウィが成長した重要な側面の1つだろう。スタンフォードに入学後は、両親はカリフォルニア州北部に引っ越し、子供に寄生する親もこのレベルまで来たかと、ゴルフ界に大きな疑念と嘲笑が広がったものだ。

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しかしウィ自身は、両親が関わることは問題ないと主張している。大学では自分だけの時間を持てたし、ゴルフのキャリアにおいてはやはり両親の手助けが必要だからだ。そして、友達と一緒にシニア・パブ・ナイトに出掛けた翌日も、午前9時きっかりに練習に姿を現すことを知った両親は、ミシェルの判断を信用するようになった。大学の寮に、実質毎晩電話を掛けてきた、1年生の頃とは大違いだ（父親のB.J.はGolf Worldの電話取材に20分間応じたが、この逸話に関するコメントは拒否した）。

大学での経験が自分をどう変えたか質問を受けたウィは、答えを父と母との関係と結びつけた。「私は全然違う人間になったわ。もっと大人になったと思うの。大学では、自立して生活していかなければならない。それが私の学んだこと。両親に頼りすぎることなく、自分で自分の面倒を見る。だから、両親とは、ゴルフはもちろん、ビジネスやあらゆる面において、よりパートナーに近い関係になったと思うの」。

「2人とも、私の意見を信用してくれるわ。前は尊重してくれなかったってことじゃないんだけど、まだ子供で、自分だけで何も成し遂げたことがないと、両親は明らかに子供の意見を重要視しないでしょ。子供扱いして、守りたがるのよ。今、私達の関係はより多くの尊敬を含むようになったと思うの。私のことをもっと信頼してくれるようになったわ」。

クリスティーナ・キムがウィに初めて会ったのは、2003年のクラフト・ナビスコで、ウィがまだ人見知りの激しい13歳の頃だった（他の13歳も同じだろうが）。しかしそれから9年後、3月最初の週末に、キムは地元のカリフォルニア州北部に戻り、スタンフォード大学でウィと一緒に遊んだ。キムは、協力者というわけではないが、親友が大学で“羽根を伸ばせる”ように、自分の意見を表現しやすくできるように、道を作った人物でもある。「彼女は自由奔放に生きるボヘミアンね」と、キムは誇らしげに言った。

彼女のヘアスタイルを見てみるといい。ウィはピンクやグリーンの付け毛を交えるようになった。キムは、これをウィの反逆の証、自分自身の場所を見つけたいという興味の証だとみている。

ウィは2年前にポメラニアンの子犬、ローラを買い、大の仲良しになった。普段は両親がローラの世話をしているが（スタンフォード大学では構内でペットを飼うことを禁じている）、ウィは遠征にはローラを連れて行き、愛犬の話になるととびきりの笑顔を見せるのだ。

あるいは、絵画はどうだろう。ウィは水彩画と、白黒のスケッチをこよなく愛し、ノースウェスタン大学で芸術を専攻していたドナルドに師事して、その才能を学びたいと強く願っている。また、スタンフォード大学では、裁縫や料理にも興味を抱くようになった。

このアーティスティックな一面は、新入生時代の寮の仲間と、11月にスタンフォード大学とノートルダム大学のフットボールの応援に出掛けた時に見られた。ウィは白い普通の帽子を買って、“スタンフォード”というロゴを縫い付け、スタンフォードの“S”という文字を、キラキラ光る赤で彩り、この帽子を友達たちにプレゼントしたのだ。この時は、本当に楽しい思いをしたという。

大学での友人の1人、カサンドラ・エスピノーザは、ウィを学校内でも屈指の創造力を持つ人だという。「結局は、彼女は私たちの友達の1人に過ぎないから」とエスピノーザは言う。「スタンフォード大学での経験があったから、ミシェルは等身大のミシェルでいられると思うの。もちろん彼女には他の生活もあるけど、何があっても友達で居続ける私たちがここにはいるから」