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【WORLD】R.ファウラーの初優勝を振り返る

最終日を振り返ろう。3日目を終えて首位に立っていたウェブ・シンプソンがまず苦しみ、15番を終えて15アンダーとしていたファウラー、マキロイ、ポインツに逆転を許した。これが、“グリーンマイル”ことクエイルホロークラブの難所とされる上がり3ホールに向かう3選手の恐怖心を少しばかり和らげたことだろう。しかしながら各選手は、最終ホール終了までに1打スコアを落とすことになった。

最初にミスを犯したのはファウラー。16番。8番アイアンで放ったショットがショートし、グリーン脇のバンカーに吸い込まれた。上手く出したものの3メートルのパットを沈めきれず。マキロイは17番(パー3)のティショットで、7番アイアンを選択したが、右に曲げてグリーンわきの湿地帯へ打ち込んでしまう。そしてポインツは、2日目の13番で記録して以来、ボギーを叩いていなかったが、最終18番で痛恨。8番アイアンでのアプローチはグリーン右のバンカーに引き寄せられ、リカバリーに失敗した。マキロイは最終ホールで5メートルのバーディパットを沈めていればレギュレーション(正規の72ホール)での優勝を決めていた。そして後退していたシンプソンも14番と15番をバーディとし、18番でロングパットさえ決めていればプレーオフ進出の資格を手にしていたものの、いずれもこれを決めきれなかった。

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14アンダーで並んだ3者はプレーオフ1ホール目の18番からスタート。まず脱落したのはポインツで、セカンドショットを大きく左に曲げる。ファウラーは2打目でピンそば1.2メートルにピタリ。マキロイはこれより内側につけられなかった。ファウラーは言う。「もし風の助けがなくて、自分が完璧なショットを決められていなかったら、きっとクリークに落ちていたと思う」。決め手となったその2打目はキャディのジョー・スコブロンのアドバイスを聞き入れ、51度のウェッジを選択した。「対戦している2人は必ずどこかでバーディを決めてくると思ったから、攻めた。スコアも良かったし、バーディを狙った」。それが今回の“Go Time”となった。

優勝を決めた後、トレードマークのキャップを後ろ向きに被ったファウラーは、子供時分の恩師であり、昨年皮膚癌で他界したバリー・マクドネルさんのことが頭を過り、涙を流した。「出来るだけ泣かないようにしていた。自分を見失ってしまうと思っていたから。彼に見守っていてもらっていて良かった」。

クエイルホロークラブの攻略法は、ドクター・セウスのようにわかりやすく、4ホールあるパー5、2つの短いパー4(8、14番)でスコアを伸ばし、残りのホールで耐えることに尽きる。優勝したファウラーはこのトーナメントで、パッティング時のグリップをクロスハンドに変更。その結果、上記6ホールでの結果はトータル18アンダーを記録した。

マスターズメンバーであり、クエイルホロークラブのオーナーを務めるジョニー・ハリスは、PGAオブ・アメリカに対し誘致活動を行い、2017年8月の「全米プロゴルフ選手権」開催を決めた。2日目を終えて首位に立ったニック・ワトニーは、初日終了後に首位タイとしていたシンプソンの自宅に泊まっていた(シンプソンはクエイルホロークラブにほど近いところに自宅があり、同コースのメンバー)。しかし、心優しきホストとワトニーは、ラウンドを重ねるごとに順位を入れ替える激戦を繰り広げた。

しかし最終日、ワトニーは7番ホールで「8」を叩いて失速。池ポチャ、そしてOBを同じホールで記録した。ひょっとすると、ゴルフはアウエーよりもホームで勝つのが難しいスポーツなのかもしれない。シンプソンは序盤こそ好調だったが、中盤でもたつき、それでも終盤にかけて立ち直ったかに思われたがプレーオフ進出とはならなかった。勝つ為には、オレンジのウェアを身に着けておくべきだったのではないだろうか。そう思わせる結果となった。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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