タイガー・ウッズ 復活の軌跡
【WORLD】最終日首位スタートは優勝できない?
Golf World(2012年5月14日号) texted by David Barrett
2003年以降、初めて最終日を首位でスタートした選手で優勝したのは31.9%。それが経験を重ねると改善され、2度目では34.4%、続けて経験した場合は38.3%にまでアップする。それでも、経験の浅い若い世代の選手が優勝する例は多くはない。その原因の1つとしては、ジュニアや大学レベルのトーナメントシステムが挙げられるだろう。ジュニアレベルのトップ選手達の大半は、アメリカ国内の他校のトップ選手達が出場する規模の大きな大会に出場する。つまり、トップレベルのトーナメントともなると、より多くの学校が参加することになる。それだけ選手層が厚い大会ともなれば、ごく少数の限られた選手にしか、最終日を首位で迎える経験、もしくは逆転優勝のチャンスが与えられないからだ。当然ながら、PGAツアーに参戦すれば更に激戦となり、最終日の準備ともなれば苦しい以外の何物でもなくなる。
若い世代の選手が、ミケルソンやシン(最終日首位で迎えた大会で19勝3敗)、アーニー・エルス(13勝4敗)と同じアプローチを取れるかは常に疑問が付きまとう。ましてやウッズは代表的存在で、92.5%(49勝4敗)という驚異的な勝率を誇っている為、到達するのは、はっきり言って不可能だ(今のウッズであってもだ)。
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これまで論じてきた状況において、ウッズは規格外のため比較の参考にはならない。しかし、だからといってウッズが最終日に記録しているスコアは超人的レベルではない。2003年から2009年までを例に挙げると、首位でスタートした最終ラウンドでの平均ストロークは69.38で、これらの大会での最終日のフィールドの平均スコアは72.08となっている。
しかしながら、この数字が同様の期間での平均スコア69.11とほとんど変わらないことが、彼が“クローザー”(逃げ切って勝負を決める人)となる所以なのだろう。つまり、極めて高いウッズの勝率は、次の2つの要素により達成されたと言えるのではないだろうか。他の選手が皆うらやむ(ベースとなる高いレベルの)才能と、最終日首位スタートという非常に難しい状況でも普段通りのプレーが出来る稀な能力が融合したからだ。
最近では陰を潜めているとはいえ、後者は他選手が目指すものだ。
【参考データ 2位に何打差をつけて最終日を迎えれば“安パイ”?】
2007年のPGAツアー開幕戦以降、最終日を2位と4打差以上のリードでスタートした選手は、平均よりも優勝の確率が高い。しかし3打差以下のリードでは首位を守りきれない選手が増えてしまう。最終日を2位と3打差以内でスタートした選手が優勝したのは、161大会中60(37.3%)にとどまっている。これが4打差以上として最終日を迎えた選手がいた31大会では23大会(74.2%)で首位がリードを守り優勝している。
リード/大会における勝者の割合/勝率
首位タイ/52大会中26人/50.0%
1打差/84大会中29人/34.5%
2打差/41大会中16人/39.0%
3打差/36大会中15人/41.7%
4打差/14大会中10人/71.4%
5打差/9大会中6人/66.7%
6打差/5大会中4人/80.0
7打差/3大会中3人/100%
トータル/243大会中109人/44.9%
※52大会を通して121人が最終日タイで迎え、その内26選手が優勝した。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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