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2014年 全英オープン
期間:07/17〜07/20 場所:ロイヤルリバプール(イングランド)

雄壮なるマキロイ 6打差の首位で最終日へ

ロイヤルリバプールで開催されている第143回「全英オープン」3日目は、予報された雷雨に見舞われることなく、圧巻のラウンドを見せたロリー・マキロイが支配力を強めて最終日を迎える展開となった。

土曜日は雷雨の恐れが高まり、天候に黄信号が灯ったため、R&A(全英ゴルフ協会)は大会史上初となる2つのティからの同時スタートを採用し、大会3日目は朝9時に1番と10番から同時に開始される運びとなった。

しかし一時降った強い雨も最終組がティオフするまでにはやみ、マキロイは終盤の3ホールで2つのイーグルを奪う圧巻のプレーで、同じ25歳のリッキー・ファウラーによる挑戦を退けてみせた。

3日目を「68」でラウンドしたマキロイはこれでスコアを通算16アンダーの「200」とし、1996年にトム・レーマンが打ち立てた大会記録に2打差に迫ると共に、3日目を同じく「68」でラウンドしたファウラーに対し6打差の首位に立った。ファウラーの1打後方には通算9アンダーでスペインのセルヒオ・ガルシアと米国のダスティン・ジョンソンが続いている。

これでマキロイは、マーティン・カイマーが8打差で優勝したパインハーストで開催された先月の「全米オープン」から2大会連続となる、メジャーでの初日から首位を譲ることのない“ワイヤー・トゥ・ワイヤー”での勝利を目指すこととなった。なお、マキロイが2011年の「全米オープン」と2012年の「全米プロ」を制した際は、カイマーと同じく8打差で勝利を飾っている。

もし、今大会で北アイルランドのマキロイがクラレットジャグを掲げることになれば、2年ぶりのメジャー制覇を遂げると共に、「全英オープン」優勝によりグランドスラム達成までの道のりの四分の三を完了することになる。

昨年ミュアフィールドで「全英オープン」を制したフィル・ミケルソンは、これまでジーン・サラザン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤージャック・ニクラス、そしてタイガー・ウッズしか成し遂げていないメジャー全4大会制覇まで、残すタイトルは「全米オープン」のみとなった。

マキロイも「全英オープン」優勝を達成することになれば、彼にとって残すメジャーのタイトルは、2011年に4打差の首位で最終日を迎えながらも勝ち切ることのできなかった「マスターズ」のみとなる。

マキロイはセントアンドリュースで開催された2010年の「全英オープン」でも初日を「63」でラウンドして首位に立ちながらも、荒天に苛まれた2日目に「80」を叩いている。あれから4年が経過し、マキロイは木曜のラウンドは午前の早い時間、そして今季悩まされ続けた金曜のラウンドは午後遅い時間になるなど、くじ運にも恵まれ、それを最大限に活かした。

これまで2014年は第1ラウンドの合計スコアを50アンダーとしながらも、第2ラウンドの合計は9オーバーとしてきたマキロイだったが、この金曜は「66」の6アンダーでラウンドし、2006年に優勝したウッズが大会を折り返した際と同じ「132」で大会前半を折り返すことに成功した。

「もし優勝できれば、来年のオーガスタに向け大きな弾みとなるね」と、日曜に優勝することができた場合のインパクトの強さについて問われたマキロイは語った。「グランドスラムを達成した人は数少ないから、もし明日全てが上手く行けば道程の四分の三まで達するわけで、25歳という年齢の僕にとってはちょっとした偉業になるよね」。

「もしグランドスラムを達成できれば、華々しいメンバーの仲間入りをするわけで、その意味は計り知れない。これまでそれが狙える立場に身を置くとは考えたこともなかった。25歳でグランドスラムの内の3つのタイトルを獲るチャンスを手にするなんて考えてもみなかったから、明日はそうしたことを考えないでプレーするようにするよ」。

「思いに耽ったり、熟考したりするには余りに重すぎることだからね。まずは目の前の仕事からだよ。明日もソリッドに回ることを心がけ、その結果として来年のオーガスタへ向け弾みがつくことになれば、それもまた良し、ということだね」。

予選通過ラインの通算2オーバーでギリギリ予選通過を果たしたウッズを含む72人の選手たちは、ツーサムではなくスリーサムで3日目をラウンドすることとなり、前回王者のフィル・ミケルソンは現「全米プロ」王者のジェイソン・ダフナーとかつての同大会王者であるキーガン・ブラッドリーと共に第1組でコースに出た。

近代ゴルフではウッズとニクラスに続き、25歳にしてメジャーでの3大会制覇を成し遂げた3人目の選手となるべく大会3日目を午前11時にスタートしたマキロイは、4ストロークあったリードを瞬く間に半分まで減らす展開となった。

初日から2日連続で「66」を記録したかつての世界ナンバーワンは、1番の2打目をガードバンカーへ入れ、そこから寄せ切ることができずに今週2つ目のボギーを叩くと、同組のダスティン・ジョンソンが1メートルのバーディパットを決めたのである。

最終組がティオフするまでには強い雨もやみ、ジョンソンばかりか、ファウラーまでも柔らかくなったグリーンの利を活かし、7番でボギーを叩くまでの序盤の6ホールで4つのバーディを奪っている。

マキロイはパー5の5番で2パットながらこの日最初のバーディを奪ってスコアを通算12アンダーへ戻すと、ティショットを深いラフへ打ち込み、2打目はフェアウェイへ戻すのが精一杯だった7番では、6メートルのパットを沈めて重要なパーセーブを果たした。

この時点でマキロイはファウラーに3打差をつけて首位に立っていた。今季2つのメジャーで両大会ともトップ5入りを果たしたのはこの二人のみであり、2007年の「ウォーカーカップ」でしのぎを削ったライバル同士の対決は、ここから更にヒートアップすることになる。

マキロイはティショットをグリーン左へ外し、ボールがバギーに設置されたカメラに当たり、さらにカメラマンの足に当たった9番でパーをセーブすることに成功した。

カメラマンの無事を確認し、バギーを動かした上でピッチショットを打ったマキロイは、2.5メートルのパーパットを沈めたのである。一方、ファウラーは10番と11番でバーディを奪い、マキロイも11番で2メートルのバーディパットを決めてこれに応戦した。

ファウラーは12番で1.5メートルのパットを決めて3ホール連続にしてこの日7つ目のバーディを奪うと、同ホールでラフからの脱出に2打を要したマキロイがボギーを叩いた為、この時点で二人が首位を分け合う展開となった。

しかし、14番では逆にファウラーがトラブルに見舞われる順番となり、ティショットで困難に陥ってボギーを叩くと、マキロイが同じく14番で11メートルを決める思いがけない形でバーディを奪い、その差を2ストロークに戻すことに成功した。

その15分後には2打差が一気に5打差に開く展開となった。パー5の16番で、ファウラーがお粗末なドライバーのティショットを打って6打を要したのに対し、素晴らしいドライバーショットを放ったマキロイがロングアイアンでも見事なショットを披露し、5.5メートルのイーグルパットを沈めたのである。

17番ではファウラー、ガルシア、そしてマキロイの3人が同様にグリーン左の同じような場所からボギーを叩くも、最終ホールではガルシアがパーとし、ファウラーがバーディを奪ったのに対し、マキロイは3メートルのイーグルパットを沈め、今大会の権威が誰であるかを強く印象づけたのである。

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