岩田寛の前にひらけた PGAツアーへの2つの道
2014年 WGC HSBCチャンピオンズ
期間:11/06〜11/09 場所:シェシャンインターナショナルGC(中国)
終盤に劇的なプレーを見せたワトソンがWGC初制覇
シェシャンインターナショナルの18番で2度に渡りミラクルな瞬間を見せたバッバ・ワトソンが、上海での劇的な一日となった最終日にプレーオフの末ティム・クラークを下し、「WGC HSBCチャンピオンズ」を制した。
ワトソンは残り3ホールの時点で3打差の首位に立っていたが、16番でボギーを叩くと、ガードバンカーからの脱出に失敗した17番ではダブルボギーを叩いてしまった。
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これにより「マスターズ」王者のワトソンは同組のクラークとリッキー・ファウラー、更には最終組のグレーム・マクドウェル、岩田寛、そしてマーティン・カイマーを1打差で追う展開となった。
パー5の18番では、ファウラーはウォーターハザードに捕まり、ワトソンはガードバンカーにはまっていたため、クラークが3打目を打った時点では、彼が優勝に最も近い位置にいるかに見えた。
しかしながら、ワトソンがバンカーショットから見事に直接決めてイーグルを奪い、クラークがバーディを奪ったため、この2人が通算11アンダーで並び、最終組の3人はプレーオフへ加わるには最終ホールでのバーディが必須の展開となった。
カイマーのチャンスは3打目を池へ入れた時点で潰え、マクドウェルと岩田はそれぞれ5.5メートルと3.5メートルのバーディパットを外し、首位の2人を捕えることは叶わなかった。
再び18番に戻って行われたプレーオフ1ホール目では、ワトソンが2打目を前述のバンカーへ入れたのに対し、クラークは3打目をピンから約6メートルの位置に乗せた。
ワトソンは同じバンカーから同様の劇的なショットを再現するには至らなかったが、クラークがバーディパットをショートすると、飛ばし屋のレフティは見事バーディパットを沈めて優勝を決めた。
「僕にとってこれは大きな勝利だ」と2014年の3勝目を飾ったワトソン。「この勝利は大きい、というのも、僕はずっと海外で勝ちたいと思っていたからね。これは僕の7勝目にあたる。僕の目標である10勝にまた一歩近づくことができた。それにこれは世界ゴルフ選手権なんだ。色々な意味で大きな勝利になったね」
72ホール目について36歳のワトソンは、「あれは本当にタフなバンカーショットで、まさか入るとは思っていなかったけれど、キャディに今日は何でもありの一日で、ここ2ホールは散々なものだったけれど、これを決めれば全てが変わると言ったら、パットが転がって入ったんだ。クラークは『なんてことをしてくれたんだ』という感じだったよ」と述べた。
「プレーオフでは面白いことに、直接ホールインしたバンカーショットの時とパットが全く同じラインだったから、僕らはラインが分かっていたんだ、速いラインだということをね。2パット狙いで打ったら入ったんだ」
16番で外した短いバーディパットを悔やむクラークだったが、南アフリカ出身の彼は、「週明けにはまさかこんな成績を残せるとは思ってもいなかった。プレーオフではあのバーディパットは決めなければならないのは分かっていた。特に彼(ワトソン)が決められる位置につけていただけにね」と述べた。
「確かにギリギリのところで優勝を逃したことにはがっかりしているけど、全体的には満足している。僕はただこのコースを賢く攻略しようと努め、最終的には快哉(かいさい)を叫ぶには十分なプレーができたと思う」
初日の「67」以来、一貫して首位に立ってきたマクドウェルだったが、最終日は「73」と苦しみ、岩田、そして池に落とした18番でパーをセーブして最終日を「70」でラウンドしたファウラーと並ぶ3位タイで大会を終えた。
「本当に忌憚のないところを言わしてもらうと、今週はずっと自分のゴルフがピタッとはまらなかったんだ」とマクドウェル。「そして、ゴルフコースは週末に入り、とても難しくなった。週末は容赦ないピンポジションになり、チャンスにつけるにはアイアンショットに多くを求められたのだけど、僕は十分なプレーができなかった。単純にそれだけのことだよ」
「今週序盤はあれだけ冴えていたパターも週末に入ると鳴りを潜めたけれど、これだけ強豪揃いのフィールドで、ベストのプレーができないなかでの3位タイなのだから、自分はとてもついていたと思わなければならないね」
「3位に終わった自分のやり方にはがっかりしている。でも、3位に入った自分のプレー振りにはとても満足している」
「全米オープン」王者のカイマーは、18番でダブルボギーを叩いたことにより、順位を「ライダーカップ」でチームメイトだったイアン・ポールター、そしてデンマークのトービヨーン・オルセンと並ぶ6位タイに落としてしまったが、それでも彼はポジティブな面に目を向けている。
「18番はついていなかったね」と2011年にこの大会を制したカイマー。「良い距離感だと思った。強い風のなか、完璧な距離感だと思ったけれど、当たりが余りに良すぎたね」
「でも、今週の前向きな部分に目を向けようと思う。良い1週間だった。とても良いプレーができたし、まだあと2つか3つ、大きな大会が残っているからね」