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勝利なき2シーズンの数字と手応え 松山英樹の7年目の期待

◇米国男子◇ツアー選手権 最終日(24日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7346yd(パー70)

タイトルに恵まれないまま2年が経過した。2017年8月「WGCブリヂストン招待」でのツアー通算5勝目を最後に、松山英樹は我慢の時間を強いられている。ポイントランク上位30人で争う最終戦「ツアー選手権」には6年連続で出場。本格参戦初年度からこのエリートフィールドに立ち続けている唯一のゴルファーは「優勝」の2文字だけが遠い。

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2018-19年シーズンは24試合に出場した。昨夏から続いた25試合連続の予選通過は7月「全英オープン」でストップ。それでも決勝ラウンドを戦えなかったのはこれを含む2試合だった。もともと松山は予選落ちが少なく、昨年も3回だけ。ただし、同じように一年を通して高い安定感を保ったようで、本人は「ぜんぜん違います。ことしの方が良かったと思う」とステップアップした実感を持っている。

平均ストロークの向上が好感触の裏付けのひとつになる。「69.841」で2年ぶりに60台を記録し、ツアー全体で12位だった。好スコアの支えになったのがショットの復調傾向。グリーンに到達するまでの技術力の指標、ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーンは全体3位の「+1.487」で、ツアー参戦以後ベストシーズンになった。パーオン率の20位(69.38%)は3勝を挙げた2016-17年に次ぐ数字だった。パーオンを逃した時にボギー以上を回避するスクランブリング率も12位(64.12%)と高水準にいる。

こういった年間を通じた平均的な数値よりも、松山が6勝目への兆しとみるのがシーズン最後の連戦、実力者が集うプレーオフシリーズでの出来にある。第2戦「BMW選手権」、そして「ツアー選手権」では直近8ラウンドのうち3ラウンドでフィールドのベストスコアをマークした。「ここ2試合でつかんだものある」。勝つためには1試合で何度か爆発的な数位がやはり求められるのが、現在の米ツアー。「あとはティショット(の精度)とパッティング」と課題は明確になった。

心理面においても、今季は遠ざかったタイトルとの距離を埋めはじめた年でもあった。松山自身、昨年は「優勝争いをした」という実感がまるでなかったという。今季は6月初旬の「ザ・メモリアルトーナメント」で首位に4打差3位で迎える最終日前夜に、緊張感から来る体調の異変を感じ取った。「寝る前から体温が高かった。部屋の温度はいつも一緒なのに『ちょっと暑いな…』と。起きてからも同じで、久々にこういうのがあるのかなと」

前週のプレーオフ第2戦「BMW選手権」は単独首位で迎えた3日目に最終組で回って後退した。「2サム(2人1組)で優勝争いをしている時のプレーのスピードに長らく慣れてなかった。そういうところでのプレーをもっと増やさないといけない」。繊細な感性からくる自分の“弱さ”、技術以外の克服すべきポイントを洗い出し、自ら口に出して反省もした。

今季、松山“らしさ”が失われた点といえば、最終ラウンドの平均スコアが「70.0」で60位にとどまったこと。直近2年は18年「68.38(2位)」、17年「68.78(4位)」だった。“心技体”がそろい、フィニッシュの精度の高さを取り戻したとき、その瞬間はもう一度訪れる。

スイングは「昔とはまたぜんぜん違うもの」を日々追求しているという。一心不乱に前だけを見ているようで、来た道を振り返ることもある。最後の2試合で松山は、ポロシャツのボタンを2つとめずに、首もとを大きく開けてプレーした。

「(見た目を考えると)締めておきたいんですけどね。昔、良かったときって締めてなかったんですよ。ゲンを担ぐわけじゃないんだけど、基本的には開いている方が僕はいいみたい。勝手な思い込みかもしれない。でも、気持ちがやっぱり違うんだろうなって」。左右の肩を後ろにやり、スッと背筋を伸ばして言った。

勝利に飢え、メジャータイトルを誰よりも欲しがっているのは本人に他ならない。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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