勝みなみ“スタンス格闘史” 「私、オープンじゃないとだめなんです」
2023年 ザ・プレーヤーズ選手権
期間:03/09〜03/12 場所:TPCソーグラス ザ・プレイヤーズ・スタジアムコース(フロリダ州)
10年目の松山英樹 “LIVに対抗”PGAツアーの変革に何を思う
◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 事前情報(8日)◇TPCソーグラス ザ・プレーヤーズ・スタジアムコース(フロリダ州)◇7275yd(パー72)
PGAツアーのジェイ・モナハン・コミッショナーは7日、公式会見で2024年シーズンに行うスケジュールと数試合の競技形式の変更について説明した。それに先駆けて、クラブハウスで選手ミーティングを実施。参加した約50人の中には松山英樹もいた。
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ツアーは来季、メジャー4大会、「ザ・プレーヤーズ選手権」、全3戦のプレーオフシリーズのほか、「ザ・ジェネシス招待」、「アーノルド・パーマー招待」、「ザ・メモリアルトーナメント」を含む8大会(正式決定は後日)を高い賞金とフェデックスカップポイントがかかる「上位大会」(計16試合)と定める。「ザ・ジェネシス―」以下の8大会については出場選手を70人から80人に絞り、予選カットを設けない。
「上位大会」の出場資格は、今季のポイントランキング上位50人、世界ランキング上位30人らが得る。トップ選手同士のぶつかり合いを増やすのが狙い。一方で、出場人数が100人以上いるフルフィールドの大会はこれまで通り予選、決勝ラウンドがある。同じシード選手でも出場試合の二分化が進み、また各大会の価値の差も大きくなると見られている。
ツアーから説明を受けた松山は、「決まったこと」と方向性に理解を示しつつ「上位の選手にとっては良いスケジュールだと思うけれど、下位の選手からは文句が出る(のも当然)。どちらの意見もあるはず」と内心を明かした。
選手の人気を示す独自指標であるPIP(プレーヤーズ・インパクト・プログラム)における、松山を含むトップ20は今季、「上位大会」への出場が義務化されている(2試合以上の非エントリーでPIPボーナスが支給されない)。エリート選手を特定大会に集中させるのは、48人が予選カットなしで高額賞金を争う「LIVゴルフ」への対抗策。模倣するような動きが進む中、10年目のシーズンを戦っている松山は、「上位の選手だけで試合をやればツアーは盛り上がるのかな?」と疑問を投げかけた。
新たな施策では、下部ツアーから昇格したての選手が「上位大会」に出場し、活躍するまでにはこれまでよりもハードルが多く、時間もかかりそう。「今まではWGC(世界選手権シリーズ)などの裏で(同じ週に)、フルフィールドの試合があった。例えば(上位大会)8試合の週に、フルフィールドが半分の4試合でも開かれたりするようであればアリだと思う。先週もアーノルド・パーマー招待と、「プエルトリコオープン」が同じ週にあった。選手は上位大会に出られるように頑張るが、出られなかったらそっち(フルフィールド)の試合も同じ週にあります、という感じだといい」と“既存モデル”の重要性も強調した。
関係者によると、昨秋の構想段階では予選カットのない「上位大会」は8大会よりも多く、ロリー・マキロイ(北アイルランド)ら選手理事との話し合いでフルフィールドの試合が一定数、確保されたという。
モナハン・コミッショナーは新制度が「完ぺきなモデルではない。話を聞き、学びながら、選手やスポンサー、ファンに応えられるよう変化に毎年適応してきたい」と今後も議論を重ねていく考えだが、松山は「トップ選手だけがおいしい思いをするだけ」の方向に進む可能性を心配している。「『選手が頑張って、そこ(上位グループ)に入れば良い話』と言えばそれまでだけれど、ツアー全体ではトップ選手だけのことを考えるのであれば、それはおかしい。トップ選手がいるのは、下位選手がいるからなんです」(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw