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松山英樹の感受性と行動力

「RBCカナディアンオープン」開幕前日、プロアマに参加しない松山英樹は午前10時過ぎに会場を訪れ、練習場で球を打ち始めた。冷たい風が吹くなか、黙々とショットを繰り返す。時折、背中側にいるビリー・ホーシェルのスイングをじっと見つめる。すると、ホーシェルが話しかけてきた。

「全米プロには出るのか?」今年の全米オープンで予選ラウンドを共に回った2人。簡単な世間話のようなノリだったが、松山は早速切り出した。「出る。ところで来週(WGC-BS招待)、一緒に練習ラウンドできない?」周りにいたスタッフが英語で伝えると、ホーシェルは快く同意する。すぐに水曜日、午前8時と時間まで確定させた。

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「1人で回るのは寂しいし、少しでも勉強できたらと思って」と松山は言う。「(彼は)ショット力があって、ショートゲームとパッティングがうまい。そつなくやっている選手」。現在フェデックスカップランクで5位につける26歳のホーシェルを、松山はそう評した。

松山の海外での行動力は、なかなかのものだ。先週の「全英オープン」ではアダム・スコットと練習ラウンドを共にし、練習場ではリー・ウェストウッド(イングランド)やグレム・マクダウェル(北アイルランド)を教えるピート・コーウェン氏にも突撃で教えを請いた。

新しいコーチを探しているのか?「うーん、なんて言えばいいのかな」。松山は言葉を選んで説明する。「自分のスイングがあって、いろんなコーチの理論がある。どれも間違っているとは思わないけど、自分に合うかは別の話。ゴルフを始めた4歳から21歳までの課程があるけど、それをみんなは知らないわけじゃないですか。父が一番知っているけど、父と自分の意見も違う。一番分かっているのはやっぱり自分なんですよね。自分の理想と、現実の結果のギャップをいかに埋められるか。それを手助けしてもらえると良いんだけど」。

練習や試合では、他の選手もよく観察する。なんでこの選手は飛ぶんだろう?どういう動きをしているんだろう?「例えばマキロイのスイングとか。でも、同じ動きをしようとすると、自分のスイングじゃなくなってしまう」。だから、たくさんの理論、たくさんの動きや情報の中から、今の自分に合うものだけを慎重に選んで、ほんのひと握りだけを取り入れる。そのために、たくさんのインプットを求めている。

自分のスイングを動画に撮ることもあるというが、悪い動きを意識し過ぎたり、より良くしようと欲が出たりと、自分自身のスイングを見ることにも気を遣う。「その辺は、意外と繊細なんすよね」。朴訥とした表向きとは裏腹に、松山はしっかりと五感でものごとを見極めている。「みんな緊張していないとか書くけど、緊張はするっすよ。先週の初日とかめっちゃ緊張してましたもん」。だが、それを包み隠す行動力が、松山には備わっている。(カナダ・オークビル/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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