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初優勝を分けた英樹と遼の“渡米期” 今田竜二が指摘

「持っていますね、ヤツは」。先週の「ザ・メモリアルトーナメント」で日本人4人目の米国男子ツアー制覇を成し遂げた松山英樹について、2008年の「AT&Tクラシック」を制した今田竜二はこれ以上ないほど端的に表現した。

“持っている”。15歳で「2007年マンシングウェアオープンKSBカップ」を制した石川遼が17番でグリーン奧からのバンカーショットを華麗に沈め、ジョーダン・スピースが「2013年ジョンディアクラシック」の18番でプレーオフに持ち込むバンカーショットをピンに当てて沈めたように…。松山は18番で右にミスしたティショットがフェアウェイに戻ってきてプレーオフへ持ち込むバーディにつながっていた。

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「砂1つでバウンドは変わるし、最終的には運ですね」。その運を持っているかどうか。「ミスがミスにならない。それをチャンスに変えてしまう」。実力があったとしても、それだけで勝利を掴むことは難しい。

「彼が良かったのは、ノリにノッている時にアメリカに来る決心をして臨んだということ。飛距離もあるし、これでやっていけるっていう自信になる。遼も実力はあるし、もっと早く勝てると思ったけど、来るタイミングを間違えたのかな…」。

その差は“怖さ”になって表れるという。たとえるなら、なにも知らずに完璧なドライバーショットを打っていた人が、フェアウェイ両サイドに池やOBがあることを知ると、途端にスイングが小さくなって曲げてしまうようなこと。

「遼も2~3年前、本場で怖さを知る前にがっついて行っていれば、すぐに勝てたと思う。こっちに来て毎回打ちのめされていると、怖さが自然と気持ちの中で出てくるもの。僕なんて、怖さしか知らないからゴルフがちっちゃいですもんね(苦笑)」。

松山は「マスターズ」のローアマチュアから、国内ツアーで賞金王を獲り、そのままの勢いでアメリカに乗り込んできた。「自信がある選手は緊張しないんですよ」と、ファンが頼もしささえ覚える現在の松山の強さについて今田は語った。

今田が日本人3人目の米国ツアー初制覇を成し遂げたのは、予選通過、トップ10と実績を積み重ねた末のことだった。「少しずつ気持ちが高まっていった時期。勝つ、勝てるっていう気持ちがあった」と振り返る。目的へと至る道は1つではない。それを知る今田だからできる英樹と遼の比較だった。(テネシー州メンフィス/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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