10億円は誰の手に? 『フェデックスカップ』プレーオフ特集
2014年 ドイツバンク選手権
期間:08/29〜09/01 場所:TPCボストン(マサチューセッツ州)
米ツアーの新データから分かる松山英樹のスゴさと苦しみ
米国男子ツアー(PGAツアー)が、分析データにおける新たな部門ランキングを発表した。フェアウェイキープ率、パーオン率、平均飛距離など膨大な数の選手スタッツに加えられたのは「STROKES GAINED/TEE TO GREEN」という指標。直訳すると、「スコアに対するショットの貢献度」といったところだ。
ツアーでは2011年から、「STROKES GAINED /PUTTING(スコアに対するパッティングの貢献度)」というデータが用いられている。
<< 下に続く >>
コロンビア大学のマーク・ブローディ教授、マサチューセッツ工科大学の研究スタッフらが考案した、ツアーでパット技術の指標となるもので、「全選手の平均から割り出された“一定の距離”を決めるのに、何打必要か?」という観点で算出。平均よりも少ない打数で決めると「プラス」、多くかかれば「マイナス」で表され、1ラウンド毎の平均値が割り出される。これは全選手のショット、パットすべてのストローク距離を記録する「ショットリンク・システム」がPGAツアーにあってこそのものだ。
この「パットの貢献度」を利用して新たに算出したのが今回の新データ。各ラウンドにおける平均スコアとの差(STROKES GAINED)から、「パットの貢献率」をマイナスしたものが「ショットの貢献度」という考え方で、その平均がランキングとなった。
そして、前週のプレーオフ第1戦「ザ・バークレイズ」後に発表された今季のランキングが以下の通り(データは2008年シーズンまで遡って掲載)。
1.ロリー・マキロイ(2.019)
2.セルヒオ・ガルシア(1.855)
3.ジム・フューリック(1.639)
4.松山英樹(1.618)
5.ジャスティン・ローズ(1.611)
6.フランチェスコ・モリナリ(1.400)
7.チャール・シュワルツェル(1.319)
8.アダム・スコット(1.314)
9.グラハム・デラエ(1.288)
10.バッバ・ワトソン(1.275)
※フィル・ミケルソンは32位(0.742)、石川遼は80位(0.227)
この場合の「ショット」はティショットからチッピング、またはグリーンの外からのパッティングも含んでおり、松山英樹がツアーでも屈指のショットメーカーであることはもちろん、ボールをグリーンに運ぶ能力において総合的に秀でていることの証だ。
今季の松山はパット貢献度では全体144位と大きく低迷しているが、平均スコア69.979は全体18位、そして今回もう一つ新設されたデータ「STROKES GAINED」(各ラウンドにおける全体平均スコアと松山のスコアの差の平均値)部門では10位にランクインした。
高いレベルで安定したスコアをマークしている一方で、数字上ではパッティングが足かせになっている。ただグリーン上で苦しんでも、それを補って余りあるほどのショット技術があることも確かだ。
プレーオフ第2戦「ドイツバンク選手権」を迎える松山は、会場のTPCボストンの練習場に6本前後のパターを持ち込み、反復練習を繰り返している。(マサチューセッツ州ノートン/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw