B.ワトソンが今季初優勝 松山英樹は11位
2016年 ノーザントラストオープン
期間:02/18〜02/21 場所:リビエラCC(カリフォルニア州)
良き人とは?バッバ・ワトソンとフェニックス事件と家族
バッバ・ワトソンにとって、2週間前の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」は苦い思い出として刻まれている。開幕前日に「このコースは好きじゃない。ここに来ているのはスポンサーのため」と発言し、翌木曜日には詰めかけた大ギャラリーから多くのブーイングを浴びせられた。そして「間違った言葉を使った」と謝罪せざるを得なかった。
真意は、大会やギャラリー批判ではなく、フェアウェイの落下地点が絞られ、飛ばし屋が簡単にバンカーを越せないようになったコース改修への彼流の意見表明だったのだが…。「言葉で伝えるのが得意じゃない」。ワトソンもそのことは自覚している。
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「あのことはまだ乗り越えていない。心が痛む出来事だった。でも、周りが自分のことをなんて言おうと、気にするべきじゃないと思う」
「ノーザントラストオープン」最終日、ワトソンが18番グリーンでウィニングパットを沈めるのを、クラブハウス前のパッティンググリーンから妻のアンジーさんと息子のカレブ君、娘のダコタちゃんが遠く眼下に眺めていた。自然に子どもを持つことが難しいワトソン夫婦は、2012年と14年に2人を養子として迎えていた。
「自分の周りにいる人たち。妻や子ども、母や姉妹に甥っ子たち、それに自分が心から信頼する親しい人たち。そんな人たちが自分の人生で最も大事だ。この子どもたちに将来“養子”だということをどう説明したらいいのだろう?この勝利を本物の愛の証明として使えたらと思う。僕はもう優勝トロフィーのために涙を流すことはない。家族のためだけに流すだろう」
奔放な行動やもの言いをするワトソンは、コース外の言動で物議を醸すことが少なくない。本人は「少しずつ良い人間になっていくしかないんだよ」と受け止めながら、前を向く。PGAツアー通算9勝目を達成した37歳は、人生の階段もまた一歩ずつ上っている最中なのだ。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka