「AT&Tペブルビーチプロアマ」最終日スコア
2020年 AT&Tペブルビーチプロアマ
期間:02/06〜02/09 場所:ペブルビーチGL ほか(カリフォルニア州)
5季ぶりVのニック・テイラー 秘めた一発の爆発力と粘り強さ
◇米国男子◇AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ 最終日(9日)◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)◇6816yd(パー72)
寡黙でおとなしい印象だが、一発の爆発力と粘り強さを秘めている。初日から首位をキープしていたニック・テイラー(カナダ)は、最終日に前年覇者のフィル・ミケルソンと初めて同組となった。
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前夜、テイラーはミケルソンの3日目のハイライト映像を見ていたという。「どうやってあの(ペブルビーチ7番の)バンカーショットを打ったのか興味があった。目玉になったと思ったけど、そこから30㎝に寄せていて、あんなショットが打てるのかとびっくりしたよ」。だが、恐れを抱くことはなかったという。「よし、わかった。もし彼がそういうプレーを続けるならそれも良し。でも、自分がいまやっているように、フェアウェイに打ち、グリーンをとらえ続けて、周りの選手が躍起になるようにしてやろう」と決意した。
スタート時、2位のミケルソンとの差は1打だったが、9番を終えて5打になった。だが、クラブハウスに戻ってくる後半は、風がアゲンストに変わる。11番、12番で連続ボギー。14番でダブルボギーをたたいて、その差は2打に縮まった。「大量リードすることなんてあまりない。普段通りにやろうとしても、あと何ホール残っているか?とか、あと何打差あるか?と考えないことは不可能だ。だから、とにかくいまやっていることに集中したら、幸運にもうまくいった」。15番で流れを変えるチップインバーディ。17番もダメ押しのバーディを奪い、最後は悠々と逃げ切った。
21歳だった2009年、テイラーは2度目の出場となった「全米オープン」でローアマチュアに輝いて、世界アマチュアランク1位へと上り詰めた。プロ転向は10年。最初の数年はPGAカナダで腕を磨き、14年にウェブドットコム(現コーン・フェリー)ツアーへステップアップ。同年最終戦の「ウェブドットコムツアー選手権」最終日に「63」をマークして、翌シーズンのPGAツアー出場資格をもぎ取った。
ルーキーイヤーの15年シーズン、わずか4戦目(通算13戦目)の「サンダーソンファームズ選手権」で最終日「66」をマークして逆転優勝。同シーズンは、この初優勝を除くと最高位は24位。予選落ちも28試合中11回と、この1試合だけが突出して輝いている。
当時の記事には、「パットが急に入り始めたから」と初優勝の理由が語られている。今週はフィールド3位のパーオン率に加え、パッティングも冴えていた。パットのスコア貢献度は5.891(ペブルビーチで回った2ラウンド合計)。今大会の72ホールを終えて、226ホール連続3パットなしの記録も続けている。「ハワイ(ソニーオープン)では32位だったけど、今週くらいパターがよければ、優勝争いしていたと思う」という。巡ってきたチャンスは逃さない。ホットなパッティングの大波を、5シーズンぶりの優勝へと転換した。(カリフォルニア州ペブルビーチ/今岡涼太)