ラームが4季連続4勝目で初の世界ランク1位 ウッズ40位
2020年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:07/16〜07/19 場所:ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
コロナ禍で祖母を亡くしたラーム 2罰打受けてもセベ以来のスペイン勢世界NO.1
◇米国男子◇ザ・メモリアルトーナメント 最終日(19日)◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7456yd(パー72)
新たな世界ナンバーワンの誕生にふさわしく、ジョン・ラーム(スペイン)が困難を乗り越える強さを見せた。一時8打まで開いた後続との差を3打まで縮められて迎えた後半16番(パー3)。深い左ラフからフワリと浮かせ、グリーンエッジに落としたボールはラインに乗ってそのままカップに消えた。
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タイガー・ウッズが大会5勝目を飾った2012年の最終日、同じ16番でのチップインを彷彿とさせる一打。しかし、アドレスでソールして芝に触れた際にわずかにボールが動いていた。
ホールアウトまで気づいていなかった本人は「人生で最高のショットの1つだったから少し残念だけど、ペナルティを受け入れるよ。試合の結果は変わらない」。ゴルフ規則9.4bに違反してプレーしたことへの一般の罰として2罰打を科され、この日「75」となっても、通算9アンダー。昨年チームメイトとしてダブルス戦を制した2位ライアン・パーマーに3打差をつけていた。
母国スペインでも大きな被害のあったパンデミックで母方の祖母と叔母が亡くなった。試合後に「どちらも老人ホームにいて、ウイルスに感染したわけではなく、精神的な影響だったと思う。祖母は、両親以外で僕が最も長い時間を一緒に過ごし、多くのことを教えてくれた人だった」と明かした。
祖母は先月24日に死去し、前日マドリードのお墓に遺灰を納めたばかりだった。「きょう僕が達成したことよりも、人生にはもっと重要なことがある」。悲しみに暮れ、命の尊さを実感する中で25歳のメンタルは成熟していった。
アマチュアゴルファーに贈られる最高峰の賞の1つ「ジャック・ニクラス・アワード」に輝いたのが4年前。そのジャック・ニクラスがホストを務めるビッグトーナメントを制して帝王とグータッチを交わし、世界ランキングでもロリー・マキロイ(北アイルランド)を抜いて初の1位に上り詰めた。スペイン勢としては、ラームも憧れてやまない故セベ・バレステロス以来2人目の快挙だ。
「ゴルフで世界一の選手になりたいと野望を抱いたのは13歳か14歳の頃だったと思う。20代半ばでその夢が達成できたことは信じられない」と声を弾ませつつ、あらためて繰り返した。「僕自身は変わらない。ゴルフは人生のほんの一部だ。いい夫、いい父親、いい人でありたい」。昨年12月に結婚してからの初タイトル。ケリー夫人に捧げる1勝の意味を何よりも喜んだ。
※9.4b 球を拾い上げること、故意に球に触れること、球を動かす原因となったことに対する罰
●規則9.4に違反して間違って取り替えた球をプレーした、または誤所から球をプレーしたことに対する罰:規則6.3b、または規則14.7aに基づく一般の罰。