「ZOZOチャンピオンシップ」 米国開催を実現するまで
2020年 ZOZOチャンピオンシップ@シャーウッド
期間:10/22〜10/25 場所:シャーウッド(カリフォルニア州)
“無観客”乗り切る企画は話題に…それでも感じた物足りなさ/米開催「ZOZO」インサイドリポート
2020/10/26 18:18
◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ@シャーウッド 最終日(25日)◇シャーウッドCC(カリフォルニア州)◇7073yd(パー72)
タイガー・ウッズが2019年、記念すべき第1回大会を制した「ZOZOチャンピオンシップ」はことし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で会場を日本から米国本土に移して行われた。カリフォルニア州のシャーウッドCCでの4日間はパトリック・カントレーの優勝で無事終了。“一度限り”の米開催の様子を株式会社ZOZOの大会スタッフがリポートした。
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開幕1カ月前の9月末、「ZOZOチャンピオンシップ」はホームページを通じて“メッセージフォト”を一般募集した。期間中4万3777人を動員した千葉での前年から一転、大会は米本土で、無観客で開催。日本のファンの声を少しでも届けようと発案された企画だった。
それぞれが思いを記したボードを手にした笑顔の写真は、抽選で128点が採用された。画像を組み合わせた1枚の巨大なボードは、現地の1番ティのそばに設置。出場選手たちがサインを入れることで完成した。
ギャラリーが来場できない状況で、大会は米国のファンへの認知拡大も目指し、SNSを駆使することでプロモーションに励んだ。インスタグラムにはトッププロが次々登場した。フィル・ミケルソンはヨネックスと契約していた1990年代、年に2回ほど来日していたことから、親しみのある日本語も披露。ジョーダン・スピースはインスタライブに出演した。
ディフェンディングチャンピオンのタイガー・ウッズらは、質問に矢継ぎ早に答える”Rapid Fire Q&A”に挑戦した。「もしもプロゴルファーでなかったら?」、父アールさんのように「軍人になっていた」とか。「自分で変えたいところは?」の問いには、「ヘアライン」と薄くなった頭髪を気にして笑った。ZOZO主導で作成された動画は、ツアーのSNSでも話題になった。
ウッズは「日々、何かしらで前進すること」を目指し、亡くなった父に「Care&Share(思いやること、分かち合うこと)」を大切にするよう教わったことも明かした。施されたら、施し返す。大会に携わるスタッフたちは、PGAツアー選手たちのスポンサーへのそんな協力的な姿勢から、彼らの優しさと強さを感じてやまない。
大会事務局長の畠山恩さんは「あっという間でした」と4日間を振り返る一方で、「ファンの方がいない試合の物足りなさ、切なさも感じました」と異例の開催について語った。「試合展開も最後まで息が抜けず面白かったのですが、その瞬間を共有できなかったのは悲しかった。やっぱりトーナメントは来場する皆さんがいてこそ成り立つもの。選手にとってもリーダーボードだけではなく、周囲の歓声でゲームが変わることもあるかもしれない」
ファンの願いを集めて、シャーウッドCCに持ち込まれたメッセージボードは破棄せず、いずれ日本に運ぶ予定。会場のアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ等での掲示も検討中だ。あの興奮は、2021年秋に帰ってくる。