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2021年 ファーマーズインシュランスオープン
期間:01/28〜01/31 場所:トーリーパインズGC(サウス)(カリフォルニア州)

推薦出場のはずがPCR検査陽性で欠場 ある黒人プロの物語「僕はゴルフに救われた」

2021/01/27 13:55

◇米国男子◇ファーマーズインシュランスオープン 事前情報◇トーリーパインズGC(カリフォルニア州)◇サウスコース(7765yd)、ノースコース(7258yd、いずれもパー72)

PGAツアーは26日、主催者推薦での出場を予定していたカマイユー・ジョンソンが新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性反応を示したため、大会を欠場すると発表した。「本当に残念。PGAツアーでプレーすることはずっと夢だった。それでも健康と安全が最優先」。欠場が決まってから、自身のSNSに記した言葉には無念さが漂う。今大会がツアー初出場となる予定だった27歳には、開幕前からそのルーツに視線が集まっていた。

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故郷のフロリダ州北部マディソン郡にある人口3000人に満たない小さな町。父はおらず、少年院やガソリンスタンドで昼夜働く母に育てられた。引っ越し先の同州タラハシーでは、2ベッドルームに祖母と母、5人の兄弟たちとの8人暮らし。フードスタンプ(低所得者向けの食料支援)中心の生活は野球選手になりたいという幼い夢も奪った。

中学2年生(米国の8年生)のとき、学校の勉強についていけず退学した。自宅学習で過ごしていた2007年のある日、転機が訪れる。日中、屋外でなにげなく棒を振り回していた姿が、住まいの隣にあるゴルフ場の女性マネジャーの目にとまった。少年のスムーズな動きに感心した彼女は事情を聞き、コースでの球拾いやカート掃除といった仕事を任せる代わりに、1ラウンドにつき1ドルでプレーできる“取引”を持ち掛けた。

「ゴルフが僕を救ってくれた。生きる理由を与えてくれた」。当地で腕を磨いたジョンソンは現在、フロリダのミニツアーや、黒人などのゴルフにおけるマイノリティに属する選手の地位向上を目指す「アドボケイトプロゴルフ協会」(APGA)のツアーに出場している。「APGAツアー選手権」優勝など好成績を収めた昨秋、同協会を支援する「ファーマーズ」から推薦出場の知らせが届いていた。

悲願のPGAツアー初出場は同じAPGAでプレーする選手、ウィリー・マックIIIに譲ることになった。「こんなときはもっと大きなものに目を向ける必要がある。経験から言えば、分岐点で新しいチャンスを導いてくれる道に出くわすことがあるから」とジョンソン。「いつかツアーで、フルタイムでプレーするという夢に向けてもっと努力する闘志に火が付いた」。挑戦は終わらない。

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