USGAとR&Aが発表した「飛距離考察の報告書」そもそもどんな中身なのか
1Wは46インチまでに? R&A、USGAが“飛ばし”抑制に用具規制提案
ゴルフルールを統括するR&Aと全米ゴルフ協会(USGA)は2日、近年のゴルファーの飛距離増長を抑制するための用具規制に関する提案を明らかにした。プロツアーおよびトップアマチュアレベルでの1Wのシャフト長の制限のほか、ボール製造段階でのテストの見直し、クラブの反発係数規制という、3つの方針を公表した。
飛距離の抑制については、R&AとUSGAはかねて「ゴルフゲームが持つ戦略的なチャレンジを損なう」という観点、また飛距離増長に応じたコースの長距離化がコストや環境面での負担につながるという懸念から具体策を検討してきた。昨年2月の共同声明「飛距離に関する考察」で両団体はゴルフギアの技術革新を歓迎する一方で、ゴルファーの道具の進化への依存傾向を問題視し、研究に基づいた提案を行うことを発表していた。
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で先延ばしされ、今回公表に至った提案は以下の通り。
(1)パターを除くクラブの最大長を規則上の48インチから46インチに短くするローカルルールを、プロツアーやエリートアマチュアの大会(各国のゴルフ協会主催競技など)が採用することを提唱した。判断は各ツアーや大会主催者の決定に委ねられるが、昨年48インチの1W投入を示唆したブライソン・デシャンボーをはじめ、米国では複数のトッププロが“長尺化”に興味を示している。
(2)ボールについては製造段階でのテスト条件を厳格化した。これまで、機械を用いた規定のテストで「10度」に設定されていたボールの打ち出し角が、「7.5度から15度」の範囲においても、制限値(317yd+3ydの誤差)を超えないボールが適合球となる。現在、適合球リストに掲載されているボールについても影響が及ぶ。
(3)クラブの反発係数にも言及した。ボールがフェースに当たったときの跳ね返りを示すこの数値は高いほど飛距離が出る。計測方法であるペンデュラムテストにおいて、18マイクロセカンドまで許容されていた誤差を6マイクロセカンドに減じる。
R&AとUSGAは今回の提案を受けたクラブメーカーなどの製造業者、一般ゴルファーなどから意見を聴取し、今後の決定に役立てる。(1)については3月4日、(2)と(3)は8月2日を期限とした。
R&Aのトップであるマーティン・スランバーズ氏は「私たちはこの重要な(飛距離抑制という)トピックに取り組み、可能な限りすみやかに次の段階に進んでいる。研究結果と今回の提案は今後数カ月の焦点になる。ゴルフ用品業界の洞察と理解を得たい」とコメント。USGAの最高責任者マイク・デービス氏は「飛距離増長が放置されたままでは、すべてのレベル、すべてのコースでのゴルフゲームが脅威にさらされてしまう」と、将来を見据えた提案であることを強調した。