「フォーティネット選手権」2日目リーダーボード
2021年 フォーティネット選手権
期間:09/16〜09/19 場所:シルバラードリゾート&スパ(カリフォルニア州)
「東京五輪」銅メダル争いに敗れたミト・ペレイラの新天地
◇米国男子◇フォーティネット選手権 2日目(17日)◇シルバラードリゾート&スパ (カリフォルニア州)◇7123yd(パー72)
“霞ヶ関の死闘”で最も無名の存在だったと言っていい。8月の「東京五輪」最終日。銅メダリストのC.T.パン(台湾)にプレーオフで敗れたのは、母国の声援を背負った松山英樹のほか、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、コリン・モリカワ、ポール・ケーシー(イングランド)、セバスチャン・ムニョス(コロンビア)。そして…チリから来た26歳のミト・ペレイラだった。
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7人のうち唯一PGAツアーでの優勝、それどころかシード選手としての経験もなかった。「ずっと夢だった」というツアーでの本格デビューは2021―22年シーズンから。予選ラウンドを通算10アンダーでまとめ、さっそく2位で通過したこの開幕戦がスタート地点だ。
10代の頃から国際大会で活躍し、2013年には17歳のアマチュアにしてチリのプロツアーで優勝。ちなみにミトはニックネームで、以前は本名のギジェルモで活躍していた。テキサス工科大のゴルフ部に1シーズン在籍して15年にプロ転向してからは、下部PGAツアーラテンアメリカから下積み。コロナ禍でロングシーズンになった2020―21年シーズンの下部コーンフェリーツアーで3勝をマークし、自動昇格を決めた。
「オリンピックは普段よりも大きなもの、自国のためにプレーして本当に楽しかった」と、年下のホアキン・ニーマンと代表選手としてプレーしたTOKYOでの経験を振り返る(ニーマンは1打差でプレーオフに残れず10位)。
記憶にあるのは、まだ9歳だった2004年「アテネ五輪」で男子テニスのフェルナンド・ゴンザレスとニコラス・マスーがダブルスで金メダルを獲得したときの感動。「チリでは全ての人が、PGAツアーがどんなものかを知っているわけではないが、オリンピックのことは分かる。ゴルフをしない人からも『応援している』とメッセージをたくさんもらった」と幼い頃のヒーローと、アスリートとして成長した自身とを重ねる貴重な経験になった。
PGAツアー参戦が決まり、最近母国を出てフロリダ州内に自宅を購入した。家財道具はまだ届いていないが「すごく興奮している。4、5歳のころからここに来たかったんだから。幸せだし、もっと何かを成し遂げたい。勝ちたい」と新天地で武者震いが止まらない。(カリフォルニア州ナパ/桂川洋一)