連覇に向け5打差19位で発進した

◇メジャー第1戦◇マスターズ 初日(7日)◇オーガスタナショナルGC（ジョージア州）◇7510yd（パー72）

想像していた緊張はタイガー・ウッズが取り払ってくれた。早朝の雷雨のため予定より30分遅れた午前11時15分の、前年王者のティオフ。「前の組がタイガーで、ギャラリーがみんなそっちに行ったので」。それでもロープサイドはパトロンが列を成したが、松山英樹は落ち着いて連覇への挑戦を始められた。

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1Wショットを右サイドのバンカーに入れたスタートホールが、我慢の一日を暗示していた。2打目を左に曲げてから、ウェッジでの40yd弱のアプローチをピンそば60㎝につけてパー発進。3番でボギーを先行させた後も、ショートゲームに頼るシーンが多かった。

ウェッジワークが光り、しのいだ

4番、6番のパー3ではいずれもティショットでグリーンを外しながら、段の境目近くのピンにウェッジで寄せた。後半10番はピン左に着弾したボールが傾斜とスピンで戻り、手前の花道に戻ってガッカリしても、スコアを落とさない。

アーメンコーナーの12番（パー3）、第1打をグリーン手前のクリークに落とした後、70ydを20㎝につけてナイスボギー。18ホールのうち“寄せワン”パーは7ホールに上った。「ライが良かったから」と謙遜する裏には、アプローチで上りを残す経験に基づく戦略もある。

首の痛みは「ほとんどないと思う」

3月初旬に負傷した首は癒えた。「痛みはほぼないと思うけれど、先週（バレロテキサスオープン）もそう思っていたら…（途中棄権した）。あしたを迎えるのが怖いくらい。でも、たぶんもうないと思う。首以外のところの方がしんどい」。故障によるトレーニング不足で下半身に疲れがたまっている。

フルスイングは「探りさぐり」。耐え忍ぶ展開は「フェアウェイに行く回数が多かった」という終盤に光が射した。バックナインのパー5でいずれも2オンからバーディ。15番は前後を池に挟まれたグリーンを目がけ、向かい風の中を3Wで距離を合わせた。「アゲンストで残り260yd。奥の池は心配ない」と冷静に判断した。

及第点を付ける滑り出し

パーオン成功は半分の9ホールでも、3バーディ、3ボギーの「72」。首位と5打差19位での滑り出しに及第点を付けた。「最初はどうなるかと思っていたんですけど、徐々に自信を持って打てるようになったので、そこは良かった」。マスターズでは1番ティのアナウンスで「ディフェンディングチャンピオン」と紹介されないが、オーガスタの誰もがその名前を知っている。「悪くないスタート。しっかりマネジメントしたい」とナーバスな初日を乗り越えた。（ジョージア州オーガスタ／桂川洋一）