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10年目の苦悩と新世代の息吹/松山英樹 2022年末インタビュー(3)

アマチュアの活躍は22年も

松山が「ZOZO」と「東京五輪」を除いて日本でプレーしたのは2019年の「ダンロップフェニックス」が最後。コロナ禍の影響もあって、出場から遠ざかっている国内ツアーでは今年、20代の選手が躍動した。

「すごいですね。金谷から始まって、啓太もアマチュアで勝ってから良い流れが来ている」。2019年の金谷(三井住友VISA太平洋マスターズ)、21年の中島に続いて今年は蝉川泰果が「パナソニックオープン」で史上6人目のアマチュア優勝を達成。蝉川はさらに「日本オープン」をアマとして95年ぶりに制覇した。

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「勝つことがまず、すごいと思う。金谷も啓太も蝉川くんも、彼ら自身がやってきたことを、自分で信じられる力がある。ただ、プロの立場から言わせてもらうと、アマチュアに勝たせてはいけないとも思う。(石川)遼なんかもちょうど悩んでいる時期が重なって、プロとしてのプライドをガンガン見せつけられる試合が少ないのかもしれない。めっちゃ、失礼な言い方ですけどね…」

賞金王に輝いた比嘉一貴は同じ東北福祉大OBで、目をかけてきた一人でもあるから、向ける視線はいっそう厳しい。

「日本オープンは蝉川くんに歴史を作ってもらいたい気持ちもあったが、僕は一貴に(逆転して)勝てと思っていた。(最終日のスタート時に)6打差あろうが関係ないと。早藤(将太キャディ)に『どっちが勝つと思います?』と言われて、僕は『蝉川くんが出だしから無難にパー、パー、パーとかで行ったら、そのまま勝つ。でも逆にバーディ、バーディという具合だったら危ないよ』と答えた。本当に(1番、2番で)バーディ、バーディで出て、(9番で)トリプルボギーを打ったでしょう。結果を後から見て『ゴルフはやっぱりそうなるんだな』と思った。一貴にとっては、そこで詰められるかが大事だった。本人は分かっているはずです」

「リキ(河本力)も動画を見た。本当に飛ぶ。彼も若いから振れる。良い時、悪い時がハッキリしているタイプで、これから自分をさらに、どう理解して、どうなっていくか。プロとしてやればやるほど、良いことばかりじゃない。悪いことも増えてくる。でもとりあえず、まだそんなこと考えずにやってほしい。(悪いものが)蓄積された時にどう考えるか」

若手の台頭、なぜ

日本ツアーでの20代前半の選手が活躍する理由を、松山はこう解釈している。

「たくさんの選手が世界を目指すようになったから、『こんなところで立ち止まっちゃいけない』と思うようになったのでは。ナショナルチームが変わって、考え方が変わったのもあるのでは。何人が『日本ツアーでは終わらないぞ』と思っているか知らないが、そういうマインドは大事だと思う。僕はそう思ったから、米国で勝てたと思っている」

振り返れば、彼らの世代をけん引する金谷、中島にとって2022年は思うような結果を残せず、苦しかった一年かもしれない。

「金谷は壁にぶち当たるだろうな…と思っていた。でも、彼も常に自分なりに考えている。この前も『どう思います?』『こういう感じはありますか?』と聞かれた。悩みを解決したい気持ちは強いし、それを越えていかないといけない。啓太だって、そんなに問題があるとは思わない。周りも期待しすぎ。彼にも彼のゴルフがある。プロになって、好成績が出ていないわけじゃないでしょう。世界アマチュアランク1位になって、勝つことを知っている。予選落ちをほとんどしないし、それはすごく大事なこと。コツをつかんだら、すぐに勝つはず」

「彼らは(22年は苦しんだが)、同世代の中でもずっと先を行っていると思う。全員に同じだけ期待したいが、悩みのレベルが(2人は)違う。金谷はプロのレベルの高さを感じて、自分でどう変わろうか、どう“ぶち抜けるか”と考えている。プロになって間もない啓太も自分のチームにいろんなことを任せながら頑張ればいい」

松山のPGAツアー本格参戦10年目のシーズンは、故障と向き合う時間が続きそう。不安も焦りもある自分を正直に認めながら、心を奮い立たせようと必死だ。

「若い選手が出てくるのは良いことだと思うけど、負けるつもりは毛頭ないから。40(歳)くらいまで、抜かせるつもりはない。10年間、米国でやってきたプライドもある。それが邪魔している部分もあるけれど、まだまだやんなきゃいけない」

「皆がPGAツアーに来てくれたらラクだし、きっと楽しい。一緒に移動したりすることもある。僕が米国に来た時、上の世代の選手がいなかった。今の韓国人選手はKJ(チェ・キョンジュ)さんがずっといるところに若手が入ってきて、良い循環が生まれた。プレジデンツカップでは“チーム韓国”ができていた(※イ・キョンフンキム・シウーイム・ソンジェトム・キムが出場)。いつか日本人でも、できたらいいなと思う」

(聞き手・構成/桂川洋一)

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