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2023年 トラベラーズ選手権
期間:06/22〜06/25 場所:TPCリバーハイランド(コネチカット州)

スウェーデンの新星現る 23歳のルドビグ・アバーグが醸す風格

◇米国男子◇トラベラーズ選手権 3日目(24日)◇TPCリバーハイランド(コネチカット州)◇6852yd(パー70)

日本でまだあまり知られていない選手を紹介するとき、名前の表記に頭を悩ませる。その名は「Ludvig Aberg」。今週の「トラベラーズ選手権」に出場している、プロ転向からまだ2試合目のスウェーデン人選手だ。

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「ルドビグ・エイバーグ」と呼んでいいのか、「ルドビッグ・アバーグ」なのか、「ルドゥビグ・オバーグ」なのか、その正解はわからない。ザンダー・シャウフェレのトレーナーであるスウェーデン人のデイビッド氏に発音してもらったところ、名前を忠実にカタカナ表記にすると「ルドビグ・アバーグ(アバーグのアは限りなくオに近い)」となるようだ。ひとまず現状は、このデイビッド案で話を進めていこうと思う。いずれにしても、彼の名前は早晩有名になるだろうから、そのうち表記は固まってくるだろう。

なぜ彼を紹介するかというと、大物になる予感がプンプンするからだ。アバーグの経歴は華々しい。スウェーデンのエスロブ出身の23歳。2007年にゴルフを始め、地元のエスロブゴルフクラブで腕を磨いた。高校時代にはスウェーデンのナショナルチーム入り、「アニカ・ソレンスタム賞」を受賞。大学はアメリカに移り、テキサス工科大学ゴルフ部に入部する。そこでもメキメキと頭角を現し、22年と23年に「ベン・ホーガン・アワード」を受賞(2年連続の受賞はジョン・ラーム以来、史上2人目)。23年には「ジャック・ニクラス・アワード」、「ハスキンズ・アワード」も受賞し、22年には世界アマチュアランキング1位にもなった。

また、今年新しく創設されたユニバーシアードランキング1位(大学ランク)の資格で、PGAツアー24年シーズンのフルシードを獲得。まさに大学時代は無双状態で、鳴り物入りでプロ転向した。プロデビュー戦は2週前の「RBCカナディアンオープン」で、予選を通過して25位タイでフィニッシュ。3月にはアマチュアとして「アーノルド・パーマー招待」と「バルスパー選手権」にも出場し、いずれも予選を通過している。

今週は初日「67」、2日目と3日目に「65」をマークし、最終日を前に通算13アンダーの12位タイ。トップ10も狙える堂々の成績を収めている。スタッツを見ても、ストローク・ゲインドのオフザティ(ティショットの貢献度)が4位、アプローチザグリーン(2打目の貢献度)が48位、アラウンドザグリーン(アプローチの貢献度)が2位、パッティングが32位、ティトゥグリーン(ショットの貢献度)が10位、ドライビングディスタンスが5位(平均316.4yd)と、ウィークポイントが見当たらないと言っていいだろう。

そのプレーを実際に見たが、約190cmの長身から繰り出されるボールは高くて力強く、もはや一級品。フィニッシュが毎回ブレないスイングのバランスの良さはアダム・スコット(オーストラリア)のようなイメージで、見た目の雰囲気は同じスウェーデンのヘンリック・ステンソンを彷彿とさせるクールな印象だ。全身をアディダスのウェアでまとめ、クラブはオールタイトリスト(パターだけオデッセイ)。まさに正統派と言ってよく、プレーも落ち着いていて、すでにルーキーとは思えない風格があった。

「間違いなくここには素晴らしいプレーヤーがいっぱいいるけど、そうした選手と一緒に戦えることを楽しみにしていた。今まで通りに、PGAツアーでもいいゴルフができると思うよ」と、プロデビュー前にアバーグが語っていた抱負からも自信がうかがえる。

今大会は毎年、若い選手に門戸を開いており、大学を出たての生きのいい選手のデビュー戦になることが多い。ちょうど4年前に、当地でビクトル・ホブラン(ノルウェー)とマシュー・ウルフがデビューしたことを思い出す。ホブランは今や世界ランキング5位のトップ選手となった。同じ北欧出身のアバーグは、先輩が歩む道をたどることができるか。(コネチカット州ハートフォード/服部謙二郎)

※編注:よりスウェーデン語の発音に近いことから、表記をルドビグ・オーベリに変更しました(2024年4月8日)

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