【WORLD】2012年シーズンは悲劇の応酬
シード権喪失 今田竜二の2013年は?
2005年シーズンから8年連続で米国男子ツアーに参戦していた今田竜二が2012年、フルシード権を失ってしまった。今季は28試合に参戦したものの、4日間を戦い抜いた試合はわずかに8試合と低迷。最終賞金ランクは181位で、フルシード権取得となる125位入りを逃した。そして11月に行われたツアー予選会では2次予選で敗退。13年はPGAツアー(レギュラーツアー)には限られた試合に参戦はできるが、下部ツアーのウェブドットコムツアーにも参戦すると予想される。長きにわたって米国を主戦場としてきた“サムライ”に残されている復活ロードは、どう描かれるのだろうか。
■「PGAツアー競技優勝者」のカテゴリー
2008年5月ジョージア州アトランタ開催の「AT&Tクラシック」でツアー優勝を果たしている今田はPGAツアーの「ツアー競技優勝者」として優先順位のカテゴリーに名前は残る。 このカテゴリーは「過去のツアー競技優勝者」とツアー競技で150試合以上予選通過を果たした「ベテランメンバー」が混合しているポジションになる。
ツアー競技に出場できる優先順位カテゴリー枠を大きく分けると、(1)メジャー優勝複数年シードを含むツアー競技優勝者、(2)賞金ランク125位までのフルシード選手、(3)最終予選会突破組や下部ツアー昇格組、(4)126位から150位までの準シード組の4つ。
今田が該当する「過去のツアー競技優勝者」と「ベテランメンバー」は上記枠よりも出場チャンスが低い、下のカテゴリーになってしまう。通常この枠からツアー参戦できるチャンスは年間に7試合から10試合。ちなみにこのカテゴリーにおける今田の出場優先順位は10番目(PGAツアーと下部ツアーでの生涯キャリア獲得賞金ランクで順位が決定する)。 この順番は4月の「マスターズ」後にリランキングがあり変動する。このリランキングでは、推薦出場であっても、マンデー予選通過による出場であっても競技で賞金を稼ぐ事ができれば対象の賞金として認められる。
またこのカテゴリーの選手はツアーメンバーであるため、年間ポイントレースのフェデックスカップのポイントも獲得することが可能。PGAツアーには普通のオープン競技とは別に出場資格が異なるメジャー競技、世界ゴルフ選手権(WGC)、そして「特別競技・招待試合」がある。この「特別競技・招待試合」は最新フェデックスカップランクで70位までに入っていれば出場可能となるため、ワンチャンスをつかんで上位進出を果たせれば「アーノルド・パーマーインビテーショナル」、「RBCヘリテージ」、「クラウンプラザインビテーショナル」、「メモリアルトーナメント」そして「AT&Tナショナル」などの大会に出場できるわけだ。
ちなみに2012年、ディッキー・プライドという選手がこのカテゴリー枠から限られた試合で上位に絡み、トップ10入りが3試合。合計126万ドルを稼ぎ出し、賞金ランク67位でフルシード復活を果たしているだけに、少なからず期待も持てそうだ。
■ウェブドットコムツアーからの復活
そして今田には下部ツアーからの復活のチャンスがある。2000年に発足した下部ツアーは過去に数回、冠名称が変更になっているが、昨年途中から新たにウェブドットコムツアーとなった。2013年シーズンは中南米5試合を含む計25試合が予定されている。今田はPGA最終予選会にコマを進める事ができなかったものの「過去5年間のUSPGAツアーフルメンバー」というカテゴリーで下部ツアー競技にフル参戦する資格がある。
また、2013年はPGAツアーの出場権を獲得できる予選会(Qスクール)が撤廃となり、新しい試みがスタート。8月から9月末までの最終4試合で「ウェブドットコムツアーファイナル」と呼ばれる“入れ替え戦”が行われるのだ。
このツアーファイナル直前までのウェブドットコムツアー21試合で、賞金ランキング25位以内に入れば、翌シーズンのPGAツアー出場資格を得ることになるが、仮に26位以下に終わっても、この4試合に進めればチャンスはある。
ツアーファイナル出場資格は(1) PGAツアーでフルシード権を獲得できなかったフェデックスカップランク126位から200位までの選手(2)ウェブドットコムツアーレギュラーシーズン、21試合の賞金ランクで1位から75位までの選手(3) PGAツアー競技に参戦したノンメンバーで126~200位までのフェデックスカップポイント相当を獲得した選手というもの。この4試合で別枠ツアーファイナル賞金ランキング50名(上述の21試合での25位以内の選手を含む)が2014年シーズンPGAツアー出場資格を得ることになる。
今田は1月のレギュラーツアー「ソニーオープンinハワイ」から13年シーズンを迎える予定。約9か月間の厳しい戦いが待ち受けているが、再び華やかな舞台に立つ瞬間を、多くのファンが待っている。(アンディー和田/ゴルフチャンネル解説者)