松山英樹単独会見(1)「おれの資格はどこへ?」JGTOへの困惑
「早いと思わなかった」米1年目で初優勝 松山英樹に見えた光景
<世界のトップと戦うために日々変化させるスイング>
「ザ・メモリアル」での1勝。しかし、松山はいま、長かった1年のハイライトをその4日間に集約できずにいる。フェデックスカップレースでは上位30人が出場の最終戦「ツアー選手権byコカ・コーラ」に進出したが、期待されたメジャー大会は「マスターズ」での予選落ちをはじめ、「全米オープン」35位、「全英オープン」39位、「全米プロ」36位と振るわなかった。
「(1年の)評価は難しいですね…どっちもあるかな。ちゃんとしたゴルフをしないと、メジャーでは通用しないということを痛感した。ただ、よくその状態で30人に残ったなというところもある」
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特に夏場以降、昨シーズンの終盤戦は苦悩に満ちていた。
「パターのラインが全然読めなくなったときがあった。ストレスになりましたね。それにショットもうまくいかない。パターも入んない。自分に『どうするの?』って」
10月の2014-15年の新シーズン開幕直前には、リストターンを重視した新しいスイングづくりに取り組んだ。ただこれも、長い道のりの最中だ。
「スイングチェンジは毎日している感じ。1時間ごとにしている感じですかね(笑)。まだ何が完成は分かっていない。結局、僕の力がまだついていない。ガラッと変えて、良くなって、悪くなって、戻して…。開幕2戦はすごく良かったのに、(次に出場した)中国(HSBCチャンピオンズ)が終わってから『おかしいな』と思ってまた変えた」
「そこからはその前にやっていたスイングとの融合というか…うまくミックスさせようとか考えています。悩んでいたところを大きく変えて、また変えて、時間を置いて考えて、見つめ直してやったら『こういうのもアリなんだなあ』みたいに。やったことのないチェンジをして、今までにはない感じのものを発見したりもする」
世界トップクラスの選手と対峙しながら、松山は日々、サングラス越しに同組選手のスイングに目を凝らす。PGAツアーで彼らに負けないために必要なこと。それを“わずかな差”と表現するが「やつらは飛んで曲がらない。でも、アメリカのコースだから曲がっていないように見えるのかなあ、とも思うけど」と、まずはショットの精度を重要視している。
松山が印象に残った選手の名前を挙げるケースは少ない。そのわずかな選手が、まず「タイガーとマキロイ」。
「アイアンショットの球が違う。ほんまにスゴイなと思ったのは、あの2人です。何がスゴイとは言葉で説明できないんですけど…見た瞬間に『スゴイ!うわ!』と思った」
一方でグリーン上ではまた違う視線を送っている。
「リッキー(ファウラー)なんかは、パターが上手いなあ…。というか、外国人選手はみんな3パット、4パットを怖がらないんですよね。そこがすごいと思う。『そりゃあ、入るわ』って思う。自分は技術的に100%の状態だったら、入り続けるくらいラインの読みには自信があるんですけど…」
ただ、ウッズ、マキロイ、ファウラーの力を大いに認めても、それを過度に意識したり、模倣したりすることはないのが松山らしさだろう。
「スイングとひとことで言っても、自分に合うもの、合わないものがある。だから試行錯誤をしながらやっているんですよね。誰だってそうじゃないの?と、思います」
ドライビングレンジで居残る姿は恒例になった。そこにプライドはない。
「練習量と結果って必ずしも結びつかない。でもその練習量があるから、そのときはうまくいかなくても、あとあと考えた時に『あの練習は良かった』『あの練習は良くなかった』と判断できる。そうすればいいし、そのために練習するんです」
プロの世界では、結果が一番。影の努力の評価は二の次だとよく分かっている。