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松山「言葉が出ない」完敗 マキロイが6バーディ圧巻の凄み
勝負が決した13番グリーン。ロリー・マキロイ(北アイルランド)と握手を交わすと、松山英樹は記者とTVカメラの前を素通りして、何も言わずに足早に送迎車へと乗り込んだ。「WGCキャデラックマッチプレー選手権」4日目、決勝トーナメント1回戦でぶつかった世界ランク1位のマキロイに、松山は6&5(5ホールを残して6アップ)で完敗した。
勝負にタラレバはないが、前日までの松山のプレーならば、もっと善戦できたはずだ。この日、パー3を除く前半7ホールでフェアウェイをとらえたのは1番ホールのただ1度だけ。リカバリーショットも精彩を欠き、8番までに4バーディを奪ったマキロイに対し、松山は1バーディ2ボギーで、あっという間に5ダウンと差をつけられた。
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逆転に向け、一筋の光明が差したのは9番(パー3)だった。グリーンに向けて打ち上げとなるホールで、ピンはバンカーのすぐ先に切られていた。オナーのマキロイが左2mにつけて喝采を浴びると、続く松山の球はまっすぐにピンに向かってカップの横10cmにぴたり。どよめきの醒めぬ中、マキロイがこのバーディパットを外して、松山がこの日初めて奪ったホールとなった。
畳み掛けるチャンスだった。続く10番では、マキロイはフェアウェイからグリーン左のバンカーに打ち込んでしまう。だが、それを見た松山は、右ラフからグリーン右に外して、アプローチも大きくショート。余裕を得たマキロイは、バンカーから直接カップに沈めると、右手を高々と突き上げるパフォーマンス。即座に5アップへと戻し、そのままあっさりと逃げ切った。
負けた悔しさか、自分のプレーが出来なかった不甲斐なさか、駐車場に戻って来た松山は「言葉が出ない」と落胆を隠せなかった。「悪いティショットでも、良いラインに行けばチャンスはあったけど、そこからのセカンドも良くなかった。スコア的には大崩れしていないけど、これがワールドランク1位との差」。
その差こそ、マキロイに宿る凄みだ。幾度かティショットを曲げる場面も見られたが、2番では8.5mのバーディパットを沈め、606ydの5番(パー5)は残り288ydを見事に2オン。1対1のマッチプレー、しかも負ければ後がない一発勝負で、13ホール中6ホールでバーディを重ね、その実力をいかんなく発揮した。
マキロイのプレーについて問われた松山は「まあ、すごいですね」。どの辺りにすごさを感じたかと重ねて聞かれると「んー、もういいじゃないですか」。相手を称え、素直に負けを認めるのは、まだ得意じゃない。
今週、松山にとって収穫があったのはパッティングだ。「唯一、良い方向に向かっている」と手応えは残っている。このリベンジは、次の優勝争いで果たせばいい。「そうなると、いいんですけど。調子が悪くてもまとめられるように、しっかりと力をつけたい」。次週、松山はフロリダで開催される「ザ・プレーヤーズ選手権」に出場する。(カリフォルニア州サンフランシスコ/今岡涼太)